危機管理業務部長
 山本 忠雄

 平成23年(2011年)3月11日は、想定外の大地震、大津波、原子力事故などにより大災害がもたらされた日として、我が国だけでなく世界中の人達に長く記憶されることとなりました。
東日本大震災(女川町の被害1)
< 東日本大震災時の宮城県内の被害 >

 今回の東日本大震災の特徴は、
|録未篦吐箸砲茲詒鏗欧竜模が想定をはるかに超える大きなものであったこと
地震、津波、原子力の複合災害となったこと
職員や施設の被害及びライフラインの障害等により被災自治体の行政機能が不全に陥ったこと
し抻 ⊂男鼻⊆衛隊、海上保安庁、医療などの応援部隊のみならず、全国の自治体職員、ライフライン
 関係事業者、海外からの支援などが大規模に実施されていること
ト鏈卉呂らの住民避難が全国的な広がりで実施されていること

などが挙げられると思います。

 私は、今回の大震災は正に想定外のことであったと思っていますが、ただ、政府や自治体の災害対応を見て感じるのは、課題解決に重点を置いた訓練をしてこなかったツケを払わされているのではないかということです。すなわち、これまでの国や自治体の図上訓練は、概ね対策本部の運営の手順を確認する(受けた情報をホワイトボードに書く要領だとか、どこに連絡するだとか・・・)、準備された台詞を会議の中で読み上げるというようなレベルのもので、災害応急対策の立案・調整や実行要領の検討をしてこなかったため、国や自治体もどのように対応していいか分らなかったのではないかと思うのです。
 その結果、政府については、どのような対応方針で何をやろうとしているのか分らない、行き当たりばったりの対応だ、不手際が目立つ、というような評価になっているのではないかと思います。
 また、自治体について言えば、庁舎がなくなってしまったというような気の毒な点もありますが、いつまでも住民への支援の手が届かないという結果を招いています。それは、首都直下、東海などの地震については対策大綱や応急対策活動要領などが作られ、自治体もまた地域防災計画などを作成していますが、それに基づいた災害応急対策を検討し、実行するという、いわゆる作戦計画の立案と遂行の訓練がなされていなかったからだと思っています。

 災害対策本部としての活動が円滑に実施されるためには、その要員が役割や業務を理解し、訓練によりその手順を確認していることが基本になります。そして、災害対応はその上に立って、生起した被害様相等に対してどのような災害応急対策を執るかということを考え、調整し、実行に移していくというプロセスが求められます。したがって、災害対策本部の訓練は、最終的には災害対応を如何にするかということを、組織を挙げて考える訓練、課題解決型の訓練にしなくてはならないと思います。
 今回の対応を見て、訓練の内容を変えなければ、質を上げなければならないと強く感じています。また、大規模災害対応のシミュレーションを実施して、生起すると考えられる事態への対応要領を具体的に検討し、関係機関・者の認識を統一するとともに、対応基準(マニュアル)としてまとめておくことも必要だと思います。

 今回はホットな話題として東日本大震災について感じたことを私の反省も込めて書きました。これからも政府や自治体、企業等の災害・危機管理をテーマに思うところを述べて参りたいと思っております。

 次回は、「災害対応における目標設定の重要性」について考えます。