危機管理業務部 副部長
 下川邊 哲三

 図上訓練における情報活動において、「自ら情報を取りに行くことが少ない」、「積極的な情報収集活動が見られなかった」等の課題や反省をよく聞きます。
 これは、下部組織等からの報告義務を当然視する風潮から、出先機関や他機関からの報告や通知を待つ傾向があることが要因と考えられます。

 災害時において効果的な応急対策活動を行うためには、現場や防災関係機関から何らかの情報が報告されてくるのを待つのではなく、応急対策を担う部署自らが事務分掌に係る情報を積極的に収集することが必要であり、「情報は必要としている人が自ら取りにいく」ことが原則であるということを再認識する必要があります。
 ここで言う「情報」とは、被災地の全般状況や防災関係機関の活動状況を把握するために必要な情報のことであり、また、各班(部)の事務分掌についての要否の判断やそれら対策を具体化するために必要な情報、つまり「収集項目」を指します。
ホワイトボード
< ホワイトボードに記載された情報収集項目の一部(某自治体での訓練より) >

 危機事態の特性として、「状況が不明」であることや、「時間とともに被害が拡大」することなどが挙げられます。また、発災当初は、「参集人員が少ない」あるいは「庁舎等の施設や設備などに被害が発生する」という人的・物的資源等に制約が生じるといった状況も生起します。
 このような状況下においても、可能な限り速やかに関連情報を収集して状況を把握し、迅速に必要な応急対策に着手するため、災害の各段階における情報活動における重点方針や重点事項等に基づき、事務分掌の実行の要否を判断したり、応急対策を具体化するために必要な収集項目を予めリストアップし、発災と同時にリストアップした収集項目を収集する手立てを講じていくことが、人的・物的資源等に制約がある発災初動期においても効果的な応急対策活動(情報収集)が可能となることから、平素から収集項目を予め設定しておくことは必要不可欠な準備であるとともに、大変重要な要素であると考えます。