危機管理業務部 主任研究員
 松田 拓也

 私事ですが、今年の4月に第一子となる娘が生まれました。
赤ちゃんの手
 娘が生まれてしばらくは、妻と娘は妻の実家に帰っていたのですが、先日我が家に戻ってきたので、今は妻と娘と3人暮らしをしています。夜泣きによる睡眠不足に悩まされながらも、おむつ替えと沐浴の技術はだいぶ向上してきました。
 娘が帰ってくるにあたって、ベビーベッドを置くことになり、2DKの狭いアパートのどこに置こうかと考えました。ベビーベッド設置場所の要件としては、まず、タンスが倒れてこない位置にあること。次に照明が落ちてこない位置、火の気のない位置にあること。更には常に目の届く位置にあること。これを満たしたのが、現在ベッドを設置している和室の一角だったのです。
 設置場所を考える過程で気付いたのは、ベビーベッドを置く位置というのは最も危機管理が行き届いた場所ではないかということです。

 私は、仕事では自治体等における危機管理の在り方などについて計画をしたり、訓練をしたりしているわけですが、自分の家庭の危機管理については、全く考えておらず、ましてや計画やマニュアルなどは考えもつきませんでした。東日本大震災を受けて少し備蓄をした程度です。
 今回「危機管理ブログ」のテーマを考えるにあたり、このベビーベッドの一件をきっかけに「子供を守る」という目線で、もう一度我が家の危機管理を見直してみようと思いました。
 本稿から数回に分けて、家庭における危機管理の在り方について、我が家の取り組みを交えながら紹介していきたいと思います。最終的には「我が家の防災マニュアル」としてまとめていく予定です。
※注 家庭における危機管理:本テーマのブログでは、主に地震、水害、火災、原子力災害に関する危機管理について取り上げる予定です。

 さて、第1回ですが、「建物の耐震性の確認」についてです。
 まず、建物の耐震性について確認します。
「耐震」とは文字通り、地震に耐えることを言います。ちなみに「免震」は揺れを建物に伝わらなくすること、「制震」は揺れを軽減することを言います。
 最近の住宅では「免震」や「制震」技術を取り入れているところも多いようですが、コストの面から「耐震」を採用している住宅が多いようです。
 「耐震」についてですが、1978年に発生した宮城県沖地震を受け、1981年6月に通称「新耐震設計基準」が設定されました。これは震度6程度の地震が起きても倒壊を防ぎ、圧死者を出さないことを目標としています。
 幸いにして、私のアパートは1982年に建設された、私と同い年の建物でしたので耐震性は確保されているとみています。
 ちなみに、今のアパートに引っ越す前、不動産屋を巡り、家賃の安いところを探したのですが、やはり築年数が経っている建物は家賃が安いこともあり、古い家をよく紹介されました。他の物件と悩んだのですが、今のアパートが1982年築であったということが一つの決め手となりました。このような知識があれば、引っ越し先を決める一つの判断基準にもなるのではないでしょうか。
 東日本大震災では私の住んでいる川崎市は震度5強だったのですが、洗面所に置いてあったイソジンが倒れたくらいで、全く被害はありませんでした。(一階に住んでいるということもあるのでしょうが。)

 皆様も現在住んでいる建物が1981年以前か以後かを確認してみてはいかがでしょうか。
 なお、1981年以前の建物であれば、耐震診断などにも自治体から補助金が出るようです。お住まいの自治体に確認してみてください。

 次回は、「室内の安全確保」をテーマに家具の配置や転倒防止策について書いていきます。