危機管理業務部 主任研究員
 福島 聡明

※「避難所の開設・運営等に係る重要事項について考える(その3)」のつづき。
 「その3」は、2013年4月30日付の記事を参照ください。



 今回は、「避難者収容の考え方」についてです。

1 避難所において災害時要援護者に配慮すべき事項
  前回の「避難所に必要な施設」でも触れたように、避難所には、高齢で体の不自由な人、乳幼児、妊
 婦、車椅子の人、外国人、病気の人、旅行中の団体、親を亡くした子ども、ペットを連れた人、車で来
 る人など、さまざまな事情を抱えた避難者が続々と集まってきます。これらの方々は一般的に「災害時
 要援護者
」と言い、避難所となる学校等施設の配置(レイアウト)を踏まえたうえで、特別な配慮が必
 要
となります。
  避難所において災害時要援護者に配慮すべき事項は、下図のとおりです。
避難所において災害時要援護者に配慮すべき事項
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  また、介護等を必要とする災害時要援護者等、避難所内では十分なケア等が困難な場合には、総合福
 祉センター(福祉避難所)等への収容を自治体に要請するなどの配慮が必要となります。
  なお、平常時から、災害時要援護者の避難や自宅で過ごす災害時要援護者の支援体制等について、自
 治(町)会等の自主防災組織を中心にあらかじめ検討しておくとともに、施設管理者や自治体と検討・
 調整し、それらの方々を対象とした「避難支援プラン」等を作成しておくことが望ましいでしょう。

2 体育館に避難者を収容するうえで留意すべき事項
  体育館に避難者を収容するうえで留意すべき事項は、下図のとおりです。
体育館に避難者を収容するうえで留意すべき事項
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  ここでは、一般的な体育館の広さ(20m×30m=600屐法通路なしで200人程度が収容できるキャ
 パシティを想定しています。

(1)避難者の居住グループの編成
   避難者の割り振りは、原則として、居住地区(自治(町)会単位)を基本に割り振り、居住グルー
  プを編成します。
   その他、乳幼児や高齢者、障がい者、外国人等の災害時要援護者、単身者、帰宅困難者など、避難
  者をどこに・何名ずつ・どのように割り振るかなどといった、避難者の居住場所の割り振り方針等も
  考慮して編成します。
   なお、避難者の減少に伴い、居住グループを再編するとともに、居住スペースも移動させる必要性
  が生じてくることも念頭に置いておきましょう。

(2)避難者の居住スペースの確保
   上図のように、一般的には、1人3屬必要と言われています。過去の震災時における避難所生活
  では、エコノミー症候群を発症した避難者が出た事例もあることから、狭すぎて身動きがとれないと
  いったことがないよう、最低限のスペースを確保することが大切です。
   また、災害時要援護者には、和室やカーペットのある部屋、また、バリアフリートイレを利用しや
  すい場所等を確保するなどの配慮が必要です。
   なお、避難生活が落ち着いてきたら、家族ごとに間仕切り等でプライバシーを確保することなど
  も気を配るようにしましょう。

(3)通路の確保
   避難所の運営方法等の検討などを目的としたワークショップ等において、「避難所運営ゲーム(H
  UG)」といった机上のシミュレーション等をよく目にしてきましたが、そこで皆さんが意外と忘れ
  がちなのが「通路の確保」です。
   「T字型のメイン通路を設ける」、「それ以外の細い通路も設ける」など、学校の体育館など、避
  難所となる施設の形状等により異なってくるかとは思いますが、いずれにしても、通路は避難所内に
  おける重要な動線となることから、居住スペースの確保と併せて、避難者を収容する前にあらかじめ
  確保しておくことが大切です。

 次回は、「避難所におけるルール」について考えていきます。