危機管理業務部 研究員
 齋藤 芳

 九月九日は、重陽の節句です。
 ルーツである中国では、菊に邪気を払い病気を治す力があると信じられ、その菊酒を飲む風習が日本にも伝わったようです。中国では、本来は旧暦の九月九日なので十月頃ですが、この日は、菊花酒を飲み、高い所に登って景色を眺め、災いを除く風習があるそうです。
 中国の易教では、九という数字を陽の数とされ、九が二つ重なるので「重九」や「重陽」と呼びます。九九は中国語の久久と同音で、長久平安の意味があり、菊の花を観て、重陽の蒸し菓子を食べ、菊酒を飲み、健康を祝うそうです。
 韓国も、旧暦九月頃にはまだ菊の花が咲いているので、菊の花を摘んで、菊餅や菊酒を作り長寿を祝うようです。

 韓国の全羅北道の高敞邑(고창 コチャンウップ)にある、備えあれば憂いなしの精神で築かれた牟陽城(모양성モヤンソン:婦女子だけの力で築造された伝説がある。)は、毎年旧暦九月九日(重陽節)に「牟陽城祭り」が開かれます。
 牟陽城は、1453年に築城された石積みの城郭です。高台にある高敞邑城は、女性たちが石を頭に載せて城を一周すると足の病気が治り、二周すると無病長寿、三周すると極楽昇天すると伝えられており、色とりどりの韓服(チマチョゴリ)を纏った女性で賑わいます。

 このように、気候の良い秋の季節には、登山をされる方も多いかと思います。
 今年の7月には、韓国・釜山の旅行会社を通じてツアー登山に参加した男性14人と女性6人で構成された40代〜70代の20人の韓国人の登山グループが、長野県の中央アルプス・宝剣岳(2,931m)を目指して7月28日に山に入りましたが、悪天候に見舞われ、29日から9人の消息が分からなくなり、そのうち5人の無事は確認されましたが、4人が遺体で発見されるという痛ましい事故が起こったのは記憶に新しいところです。
 この事故のように、韓国には日本のように3,000m級の山がないため、日本に登山を兼ねて観光に訪れる韓国人の旅行客も多いようです。また、このような韓国人旅行客は、当然のことながら、日本の気候(特に山の天気の急激な変化など)にも疎いことから、気候の違い等に留意しているとは言い難いのが実情かと思います。
 そこで今回は、「山で遭難した韓国人に出会った場合に使える韓国語」をご紹介したいと思います。
山
‘阿韻泙垢?
 움직일 수 있습니까?
 ウムジギルス イッスムニカ?

△名前は何と言いますか?
 이름이 뭐라고 합니까?
 イルミ ムウォラゴハムニカ?

山岳救助隊に連絡しました。
 산악구조대에 연락했습니다.
 サナククジョデエ ヨルラッケッスムニダ

い海両貊蠅鯑阿ないで、救助を待ってください。
 이 자리를 움직이지 말고, 구조를 기다리세요.
 イ ジャリルル ウムジギジマルゴ, クジョルル キダリセヨ

ゴ┐ないですか?
 춥지는 않습니까?
 チュプチヌン アンスムニカ?

Φ濬隊がすぐに来ます。ファイト!
 구조대가 곧 옵니다.화이팅!
 クジョデーガ コッ オムニダ。 ファイティン!

 もし、あなたが登山の途中で困っている韓国の方に出会ったらこの言葉をかけてあげるだけで、きっと安心と元気を与えられることと思います。
 先のような痛ましい事故が起こらないよう、登山をされる方は決して山を甘く見ず、十分に気をつけるとともに、危機管理意識を忘れず、楽しい登山にしてくださいね。