代表取締役社長
 山本 忠雄

 私は、昨年から神奈川県の某市の防災会議専門委員を委嘱されている。
 これまでに実施した活動としては、防災会議への参加、防災・危機管理部署の求めに応じた業務の進め方についての意見具申、市職員に対する防災に関する講演や災害対策本部運営に関する図上検討会の実施、などである。
 この市も、東日本大震災の発生を受けて中央防災会議が南海トラフ巨大地震の対策の検討を行い、県が被害想定の見直しを行ったことなどを受け、昨年度は地域防災計画を改定し、続いて業務継続計画を作成しているところである。
 相模湾に面したこの市は津波により大きな被害を受けた歴史を持ち、相模湾で大きな地震が発生すると最大10mもの大津波に襲われ、東日本大震災の時の岩手県や宮城県の沿岸部の都市のような惨状に見舞われることが懸念されている。
岩手県内の津波被害2
< 東日本大震災時の岩手県内の津波被害 >

 このような中にあって、防災担当の方々は少ない人数で、大雨・洪水警報などの実災害に対応しつつ、津波避難や避難所の開設・運営の訓練などによる地域防災力の強化や、市の対策本部の運営体制の整備に日夜頭を悩ませておられる。しかも、自治体が一般的に抱える課題である「防災は防災部局の仕事だ」という意識から、他の部局があまり協力的でないという環境の中でである。

 そんな状況を打開するために、この春に私が提案したのが「防災体制整備のための行動計画の作成」である。
 地方公共団体は、災害対策基本法において、地域防災計画を策定し、これにより防災体制の整備・向上を図ることとされているが、実態は、
|楼菲漂匏弉茲鮑定して終わりという意識があり、地域防災計画が目標とする防災体制整備の総合的な
 具体的計画がないままに個々の施策が進められ、進捗管理も実施されていない
一般の職員は、地域防災計画に示された防災体制整備に関する所属組織の役割や業務内容を認識してい
 ないように見受けられる
K漂丗寮の整備は、防災・危機管理部局が専任するものであるとの意識が支配的である
そ嗣嬰は、防災に関しては行政への依存、行政任せの傾向が強い

などの要因から、地域防災計画に基づく防災体制の整備が総合的、計画的、段階的、かつ着実に推進され難い状況にあると言わざるを得ない。
 このような状況を改善し、地域防災計画が目標とする防災体制の整備を効果的に進めるため、地域防災計画に基づく「防災体制整備のための行動計画」を作成したらどうかという提案をしたのである。

 「防災体制整備のための行動計画」とは、地域防災計画に示された防災体制の整備を着実かつ効果的に推進するための、3年程度の中期的な業務実施計画のことである。
 この「地域防災計画具体化アクションプラン」とでも言うべき中期防災体制整備のための行動計画は、以下のような計画の構成・内容により作成する。
( 針
計画の範囲
K漂丗寮整備の目標(計画の期間における防災体制の整備の目標)
に漂丗寮整備項目及び担任
コ萄匈憶急対策に係る体制整備実施要領
λ楫弉茲虜鄒に伴う措置

 ㋐「年度防災業務実施計画」及び「防災訓練実施計画」の作成
 ㋑「年度防災業務実施計画」及び「防災訓練実施計画」の成果のまとめ
 ㋒防災会議への報告
 ㋓市民等への公表

 そして、「防災体制整備のための行動計画」の作成・実行管理を効果的にするためには、その体制作りをしっかりする必要があり、私が考えたのは、
ヽ読局への市長任命の「防災・危機管理担当監(仮称)」の設置
◆嵋漂丗寮整備推進委員会(仮称)」の設置
G度の「防災体制整備のための行動計画」等の作成
に漂丗寮整備推進状況等の防災会議への報告
ニ漂丗寮の整備の推進に係る条例の制定

の5項目にわたる制度である。
 実行組織を確立し、これにより計画を作り、防災訓練や体制整備の結果を防災会議に報告する。これを確実にするために条例を制定してやらざるを得ない体制を作る―制度化する、ということである。中でもとりわけ重要なのは、災害対策本部運営の図上訓練を常態化することで、これによりいろいろな課題を改善する糸口を見出すことができる。

 このようなことにより期待される効果は、
|楼菲漂匏弉茲房┐気譴針漂丗寮の目標達成方策が具体的に検討される
∨漂丗寮の整備業務に係る努力の集中方向を示すことにより、全庁及び各機関の総力を結集しての防災
 体制の整備が可能となる
A躪臉策としての防災体制整備の実行体制を確立することができる
 ・各部の役割分担と実施すべき業務を明確にし、防災意識を高揚することができる
 ・防災・危機管理部局の負担を軽減し、総合調整機能の発揮を容易にすることができる
に漂丗寮の整備の総合的、計画的、段階的、かつ着実な推進ができる
ソ嗣韻遼漂勸媼韻鮃睛箸掘地域防災力強化施策への参画を促すことができる

など、いずれの自治体もが抱えている防災体制整備上の基本的課題を解決することにつながるものであると考えた。
 そして、それを実行に移すのは地域防災計画の改定を終えた正に「今」であると考え、迷惑とは思いつつも提案したのである。