マンスフィールド研修員
 米空軍 パスリー少佐


 今回は、マンスフィールド研修のため弊社に研修に来られた、米空軍パスリー少佐が投稿された記事をご紹介いたします。

【マンスフィールド研修】
 本研修は、米国の連邦法であるマイク・マンスフィールド・フェローシップ法に基づくもので、日米両国の協力関係の推進に資するよう、連邦政府の行政府、立法府、司法府の職員に対し日本政府内における研修の機会を与えることを目的としているものである。
 日本政府は、今年度第18期生(研修期間1年)として、連邦政府から10名の研修員を受け入れている。
 弊社は、研修員の受入れ担当である人事院の要請(本人の希望)により、平成26年2月7日から21日までの約2週間にわたり、米空軍少佐を受け入れた。

マンスフィールド研修
< 弊社代表(右)と懇談するマンスフィールド研修員 >

(※以下、原文のまま)

 知っていない人が困ったら自分は助けにいきますか。もちろん必要であれば今直ぐ助けに行くと思っている方がいるかもしれません。でも、実際そんな事になったら本当に事件に手を入れますか。実は事件現場の周辺に通行者が何人居るかにより、人が個人的に手伝いに行く可能性が上がったり下がったりします。実際の事例を紹介します。

 1964年3月13日。ニューヨーク市のキュー・ガーデン公園の辺り。午前3時15分。

 ジェノベース・「キッティ」カサリン「28」が、真夜中、居酒屋の仕事からアパートに帰ろうとしました。帰る途中、自分のアパートから30メートル離れた所で怪しい男性に追いかけられました。2回背中に犯人のナイフで刺された所で「刺された!刺された!」と大きい声を出し逃げようとしても逃げられませんでした。その時、周りの近所様数人は大きな騒ぎが聞こえたのに誰も何もしなかったのです。「刺された!」と金切り声が出た際、犯人が一時的に逃げて、彼女は血を流しながら自分のアパートの方に向かい、アパートの建物の裏扉に鍵がかかっていたため、入らずにそのまま玄関の前に倒れ、意識不明の重体となりました。数十分後犯人がもう一度犯行現場に戻り、彼女を刺し続け、婦女暴行が終わったらまた犯行現場から姿を消しました。事件が終わった直後、近くに住んでいる人が911番「米国の110番」に電話して救急車が直ぐに来ました。救護活動が行われたが病院に運ばれる途中ジェノベースさんが亡くなりました。この事件が発生してから終わるまで前後30分がかかり、その時間の中で事件が発生した意識を持っていた近所様は約12名でした。
 なぜ12名の中に警察に知らせた方は一人も居なかったのでしょう。このケースは各米国新聞に出てアメリカ国民が大ショックを受けました。心理学的な研究が行われ、このケースの詳細がだんだん分かるようになりました。ある心理学研究者の分析によると事件現場に目撃者の人数が一人以上の場合、通行者が被害者を手伝う事の遠慮の気持ちが高まると言う社会的な現象が分かるようになりました。現在その不思議な現象が社会心理学の用語で「バイスタンダー・エフェクト」傍観者効果と呼ばれています。

 ウィキペディアによると傍観者効果と言う基本定義は「自分以外に傍観者がいる時に率先して行動を起こさない心理である。傍観者が多いほど、その効果は高い。」と言う事です。なぜこの事がよく起こるか大きな理由は三つであるのですが、今回の話に対して理由の知識より傍観者効果が存在する認識は大切にしようと思います。

 防災、そして防犯、事故防止等に対して傍観者に関する特徴は大事でしょう。今日本に住んでいる訳です。実は私が日本に来る前に約30年間アメリカの様々な小さい町に住んでいました。でも来日してから日本の人口密度を初めて体験し、大きい町はどう言う事か本当に分かるようになってきました。現在東京に住んでいて毎日色んな電車、バス等の中で人間の海の中で泳いで生活しています。でも日本は混んでいるとの認識をしていない日本人は居るかもしれません。この傍観者効果が出易い社会に住んでいると良い点と弱点があると思います。もし財布などを落としたら時間が経っても現場に戻ると必ず落ちたまま残る。素晴らしい日本ですね。でももし通勤途中混んでいる電車の中で困ったら誰かが助けてくれるのかと良く考えている所です。もし一般的な日本人が急に治療的な状態になると周りの通行者が多い場合、皆さんに無視されてしまうかもしれません。これよりもし外国人の私が同じく大変な事になったらそうじゃなくて英語が出来ない方が多分反対側の改札に逆に向き走り出す可能性が高いと感じた事があります。

 このような「他人に任せる」気持ちは日本人だけではなくて私を含めて世界の人間も与えられます。でもどうやってこの自然的な傾向を防止するのでしょう。これに対して一番良い方法は先ず傍観者効果をちゃんと認識し、それからそれに対して積極的な準備です。でもどんな準備をしたらと考えるといくつか課題がだんだん出てくるかもしれません。救護と治療に関する資格を取得するか、防災的な知識を上げるか等、何か特別な訓練に参加してみるか。このような訓練経験や資格は確かに役に立つと思いますが、最初の一歩は毎日の自分の「手伝い態勢」と言う事だと思います。抜本的な変化をせず、でも毎日、少しずつ考え方と周りの見方を変える事を目指しています。もし何かが起こったら直ぐに対応が完全に出来るような心が先ず頭の中で始まります。どちらでもいい、何時でもいい、一応お忙しい一日の中にシナリオを想像し、そして自分が適切な対応仕方を考えてみる事です。毎日数十秒ぐらいをかけるとこのような準備態勢は自動的になり、将来周りの方を世話できるようになるかもしれません。もし自分が困ったらこのような準備態勢をしている方に助けられるかもしれません。どちらもいい考えでしょう。やはり「他人に任せる」気持ちの適切な対策は、共助のような心の準備だと言う風に思います。将来、もっと上手くいけるように一緒に頑張りましょう。