危機管理業務部 副部長
 大地 教文

 2014年4月16日(水曜日)午前8時55分頃、仁川港から済州島に向かっていた、乗客・乗員476名を乗せた韓国の旅客船セウォル号が遭難信号を発信し、大韓民国屏風島沖において転覆し、沈没しました。
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< 旅客船のイメージ写真 >

 現場周辺の海域には目立った暗礁はなく、事故時、視界は良好であり、波高も約1mと、航行に影響するような状況ではありませんでした。
 事故後、事故の原因について色々と取りざたされましたが、代表的なものとしては、
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▲灰鵐謄陛の固定方法の不備
Aグの過失
ちヂ里硫造(重心高)
ケ森垈饉劼砲茲覺浜体制の不備
αヂ里慮〆裟度の不備
Яヂ里慮両磧柄狢謬‥の不良疑い)

などでしたが、どれをとっても信じられないほどずさんなものでした。
 今回の事故は起こるべくして起きた人災と思われます。人の生命・身体を預かって運んでいるという認識が全くないのではないかという気がしてなりません。特に、救命ボートのほとんどが使用できないというとんでもないことまでありました。

 事故や災害は、いかに備え、どんなに注意をしていても、起きる時には起きるものです。「絶対に起きない」ということはありません。したがって、個人として、あるいは組織として、それぞれの立場で必要な備えをするとともに、発生時には初動対応を適切にし、それぞれの役割・任務をきちんと果たさなければなりません。
 ところが、今回の韓国の旅客船事故で多くの死者が発生したのは、関係する機関や個人がその役割や任務を確実に実行できなかったからではないかと思います。
 事故発生後の対応が不十分であったと考えられる理由としては、
〇故発生の認知とその重大性の認識の共有ができていなかったこと
∩ツ垢鬚呂犬瓩箸垢訌グのプロとしての意識・能力の欠如
4攅饑府の対応の遅れ、重大度の認識の欠如
し魁海洋警察や消防の対応の遅れ(救助部隊等の迅速な大量投入)と救助能力の不足
 ※見せかけの救助活動では迅速な対応はできません。
ジ従譴竜濬亞萋阿了愆の一元化・統制の欠如

など、色々とあります。
 特に、混乱した状況においては、事態の推移を的確に予測し、迅速・的確な対応を指揮できる「指揮官」の存在が大きいと思います。残念ながら、事故発生当初は、事故関係者の中にそのような人がいなかったことが犠牲者を増やすことになったのではないかと考えられます。今回の事故は、誰かが悪意を持って起こしたことではないですが、それぞれの立場において、自らの役割や任務を確実に遂行していれば、被害はもっと軽減できたと思います。
 また、事故発生時の犠牲者軽減のためには、平素の訓練が欠かせません。韓国においても、関係する機関等が連携し(もちろん日本の部隊も参加できればお互いのためにも更に良いのですが…)状況に応じた救出・救助活動の訓練等を行うことを期待しています。

 犠牲者の皆様のご冥福を心よりお祈りするとともに、今回の事故の教訓を今後に生かしてほしいものです。