危機管理業務部 研究員
 齋藤 芳

※「海外における危機管理について考える(その3)」のつづき。
 「その3」は、2014年7月7日付の記事を参照ください。



 日本には八百万の神様がいるとかで、正月には神社に初詣に行ったかと思うと、結婚式には教会(キリスト教の神父さんの前)で愛を誓い、誰かが亡くなると仏式のお葬式を出す、など、宗教に対して非常に大らかな国民性があると思いますが、海外ではかなり厳密な宗教観を持っている国があります。
 私が派遣されたモザンビークPKO(ONUMOZ)で、約7か月一緒に過ごしたポルトガル軍は全員がクリスチャンで、クリスマスの少し前から、イエス・キリスト生誕のモニュメントが造られ、クリスマス当日は、気温50度の中、大汗をかきながらミサを行っていました。その際、日本隊も参加を促され、急遽、白衣を着て聖歌隊(非番で残っていた隊員を集めた)を編成し、1時間で覚えた「きよしこの夜」を歌ったことがあります。
気温50度の中のクリスマスパーティー1
< 気温50度の中のクリスマス・ミサ ポルトガル軍と >

 これはほんの一例ですが、モザンビークでは、カトリックやイスラム教、その他の宗教が混在していましたので、現地では努めて宗教の話題には触れないようにしていました(海外では、政治と宗教の話題には触れないのが良いかと思います)。
 それでは、モザンビークを踏まえ、私が知っている(経験した)宗教のタブーや注意点等をいくつかご紹介します。

イスラム教(モスリム、回教)
.皀好に女性は入れない。また、モスクに入る際は、祈りの時間を避け、正装で行く。
 女性が寺院に入る際(女性が入ることのできる寺院がある場合)、スカートなどの肌を露出することはタ
 ブー(できるだけ長袖の方がよい)。
∋院では、動物製の皮製品はタブー
8獣呂凌諭垢凌習慣に注意すること。イスラム教徒は豚肉を食べないので、イスラム教徒に豚肉の入っ
 た食べものは勧めない。
ぅ薀泪瀬鵝蔽膿)の月は、外での食事をできるだけ避けた方がよい。
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左手は不浄とされているので、物の受け渡し、食事の際に左手を使わないよう注意する。

ヒンズー教
.劵鵐此雫気了院に入るときは、靴を脱ぐ。
現地の人々の食習慣に注意すること。ヒンズー教徒は牛肉を食べない(私は何も考えないで、持って行
 った牛肉の大和煮の缶詰をあげるといったら、しっかりと拒否されました)。

キリスト教
ゞ飢颪貌る時の服装には注意する。基本的に肌を露出した服は避ける。女性は長袖やスカーフで肌を隠
 し、男性は長ズボンを着用する(半ズボンでは入れてくれない所もある)。また、男性は帽子を取る。
 ロシアなどの教会では、男性は帽子を取り、女性は髪の毛を隠さなければならない。
教会の中では騒がないこと。
6飢颪任亮命浸1討篭愡澆両豺腓發△襦Iず確認すること。
ざ飢颪領蘿匱爾料阿砲△覦戝聞發ぞ貊蠅砲藁たない。特に、写真撮影の時には注意する。

その他
(教国のカンボジア、タイ、ラオスなどでは、頭を触ることは最大の屈辱となるので絶対にしない。
 特に、子供や僧侶に対しては要注意。
∧教、イスラム教、キリスト教など、他宗教が混在する国では、あらかじめその習慣を理解することが
 争いを招かない(宗教に対する危機管理)。

 宗教観の違いから紛争が絶えないことは周知の事実ですが、上記のように、国によっては様々な宗教が混在しているところが多いです。海外に行かれる際は、その国の宗教におけるタブーについても、しっかりと理解しておくことが大切ですね。

 次回は、「言語にまつわる話」をご紹介します。