危機管理業務部 主任研究員
 山之内 裕

※「国民保護事態における病院の避難(その1)」のつづき。
 「その1」は、2014年6月2日付の記事を参照ください。



【 前 言 】
 国民保護法が制定され、国民保護の訓練が開始された初期の頃から訓練に携わって今日まで、「国民の保護に関する基本指針」に示されている緊急対処事態の2つの分類(4つの態様)や4つの武力攻撃事態の類型の一部を題材にした国や都道府県の行う図上訓練、実動訓練、机上検討会及び研修会等の企画、運営、訓練進行をお手伝いさせていただいてきました。
 訓練の内容、深度及び参加機関の数等が年々拡大していく傾向にある中、国主導の訓練において、近年は特に災害時要配慮者の避難、救援を重視した訓練が行われているように感じます。
 直近の2年を振り返ってみましても、その傾向は強く表れています。その中でも、「病院の避難」についての検討が開始されていることは特筆に値します。
 このブログでは、国民保護図上訓練において検討された地方都市の中規模(病床数200程度?)の病院における「入院患者避難マニュアル」を念頭に置きながら、病院の避難について考えてみたいと思います(都会の1,000以上の病床数がある病院では、全く見当外れのことを記述するかも知れませんが…)。
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 前回も記述しましたが、なにぶん素人ですので、お読みになられた方々からのご意見、ご指導をいただいて、私なりに本テーマの整理が出来ていければ…、と思っています。

【 機‖寮の確立 】
 大規模災害や国民保護(緊急対処)事案等(以下、「緊急対処事案等」という。)が発生し、病院の入院患者や通院患者(以下、病院の職員を含めて「入院患者等」と言います。)の避難が必要と判断される場合、あるいは国や自治体から避難を指示される場合には、避難の誘導をするための手順や誘導員の指名、誘導先の決定など、一連の避難誘導に関する措置を統制する必要があります。しかし、根拠のない「出たとこ勝負」的な統制は危険を誘い込みかねません。
 統制の裏打ちとなると思われる事項は、以下のとおりです。

’り来る危険状況の把握
 避難しなければ生命や身体が危険に直面する時期、また、どのような危険なのか(例えば、化学剤や生物剤の散布や爆破など危険の種別等)等の危険に関する情報を収集・分析し、その結果により避難開始の時期や避難完了時期を判断することになります。

避難の優先順位を決定
 避難の誘導を行ううえで闇雲に避難者を誘導したのでは、限られた誘導経路、特に階段やエレベーターのような狭隘な空間ではパニックを引き起こしかねません。避難の優先順位を決定し、整斉とした避難を行い、混雑によるパニックを防ぐことが必要です。

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 避難誘導の手順、避難の優先順位、誘導先などを誘導員及び避難者に伝達する手段を確保し周知させることは、避難を迅速・確実に行わせるための絶対条件と言っても過言ではありません。

 「出たとこ勝負」的な統制を避け、迅速・確実、整斉とした避難の統制を行うためには、統制所を設置することが有効な手段であることは明白と考えます。
 しかし、この統制の機能だけで避難が円滑に行えるかと言うと、そうではありません。避難するための避難者(患者)移送に関する移送業者との調整、避難先との連絡、行政や警察・消防、さらには緊急対処事案の状況によっては自衛隊とも協議や調整が必要であり、その機能も必要となります。また、避難の実施間に必要な医薬品や食料・飲料水等の確保・調達も不可欠です。
 その他の必要な諸機能を含めて、避難全体を統制し推進する、いわゆる「対策本部」の設置が有効です。

【閑話休題】
 今回はここまでとします。終わりに、前回お約束したとおり、「病室から見たスカイツリー」のデジカメ画像を掲載します。今回は、夜の画像です。
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