代表取締役社長
 山本 忠雄

※「防災研修について考える(その1)」のつづき。
 「その1」は、2014年11月17日付の記事を参照ください。



 前回は、「自治体の防災体制整備の現状認識」から始め、「東日本大震災の教訓と今後の防災体制整備の在り方」までについて述べ、そして、図2をお見せしました。
図2実学を教えることが必要
< 図2 自治体の防災研修の現状・課題と防災研修の在り方 >

 今回は、この図を基に、「自治体の防災体制整備の現状と課題」と「我が国の防災研修体制と課題」について説明します。

3 自治体の防災体制整備の現状と課題
 災害対策基本法における自治体の防災上の責務は、「地域住民の生命、身体及び財産を災害から保護」するため、「防災に関する計画を作成、法令に基づきこれを実施」することです。そして首長の防災上の責務は、
 )漂劼亡悗垢組織の整備
 ∨漂劼亡悗垢教育・訓練
 K漂劼亡悗垢物資・資材の備蓄・整備・点検
 に漂劼亡悗垢施設・設備の整備・点検
 ズ匈欧発生した場合の、相互応援、民間団体との協力の確保に係わる事前措置
を実施することであるとされています。
 自治体職員には、首長の責務を具体的に実行することが課せられていますから、その防災上の責務は、
 災害予防施策の推進
 ∨漂劼亡悗垢教育・訓練への参加(法48条)
 災害対策本部要員としての活動の実施
ということになります。ところが、実態は、
 ○地域防災計画を策定して終わりという傾向があり
  |楼菲漂匏弉茲亡陲鼎防災体制整備の総合的、具体的計画がなく、個々に施策が進められ、
   進捗管理がなされていない
  ∨槁運営体制の整備、効果的な訓練がなされていない
 ○職員は、防災体制整備に関する所属組織の役割や業務内容についての認識が薄い
 ○防災体制の整備は、防災・危機管理部局が専任するものであるとの意識が支配的
 ○幹部職員の防災意識・知識、災害対応力の不足
など、防災上の責務の自覚と活動がなされていない(自分は防災には関係がない)という状況にあると思っています。
 また、住民等は、防災に関して行政への依存、行政任せの傾向が見られますから、この状況を打開するためには、首長や職員の「防災研修を継続的、段階的かつ効果的に実施する」ことが必要だと考えます。

4 我が国の防災研修体制と課題
 我が国においては、世界でも有数の災害大国でありながら、
 々颪箸靴討慮修組織・機関、統一的研修プログラムがない
 ⊆治体は、防災研修のための体制、ノウハウ、予算、教材、研修の機会等が十分ではない
 3銅鏝修機関等(市町村職員中央研修所、全国市町村国際文化研修所、消防科学総合センター、
  人と防災未来センターなど)が独自に研修を実施
というのが実態で、そこでの研修は、十分な確認もしないままの、甚だ失礼な言い方になりますが、
 |録姪災害発生のメカニズムや災害心理学など学術研究発表の様相
 学問的な内容が多い
 自治体勤務、災害対応経験のある講師が少ない
 じ従の課題の解決策が見いだせない、示されない
 ズ匈佳从本部の活動や災害対応能力の向上につながる実践的訓練がなされない
 Χ軌薹盈手法の教育が少ない
というような課題があるように感じられます。
 また、これらの研修を受けられる職員の数が極めて限られていることも含めて考えると、自治体職員としてすぐに実践できる「実学を教える」ことと、できるだけ「多くの職員が防災研修を受ける機会を作る」ことが必要であると思います。

 次回は、「望ましい防災研修の在り方」についての説明から始めます。