危機管理業務部 研究員
 戸浪 豊

 以前、出勤の途中、駅に着いて電車から降りると、女性が倒れているのが見えました。その時は、既に何人もの人が声をかけていましたし、既に駅員も駆け付けていました。また、本人にも意識があることが確認できたので、「私の出番は無い」と、心配しつつもその場を後にしましたが、皆さんも倒れている人を見かけて「どうしよう」と思ったことはありませんか?都市部にお住まいの方は、電車を利用する機会が多いかと思いますが、通勤・通学のラッシュ時の満員電車の中で何十分も揺られていると、特に女性の方などは気分を悪くされることも多いようで、意外と身近にある(目にする)出来事と言えるのではないでしょうか。
 そのような状況に遭遇した場合、先に誰かが対応していることが多いとは思いますが、もし倒れた人の傍に自分しかいないような場合、自分はしっかり対処できると思いますか。
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< ※写真はイメージ(国民保護実動訓練時の様子) >

 今回の私のブログでは、身近な危機管理の観点から、このような状況に遭遇したときのために、人命救助の基本である「心肺蘇生と止血」について考えてみたいと思います。

 まず、倒れた人を助けるには心肺機能の確保(蘇生)と止血が一番重要だということを頭におきましょう。
 なお、一概に「倒れている人」といっても、そのパターンは様々です。
/欧討い訖諭碧榲に寝ているだけなのか?)
意識はあるが、ケガや病気で動けない人(人命にかかわる症状ではないか?)
0媼韻呂覆い、呼吸はしている人(逆はない。意識がない場合、放っておくことは出来ない。)
ぐ媼韻なく、呼吸もしていない人(半分死んでいる危険な状態。迅速な処置が必要)

 当然のことですが、い両豺腓歪召舛某看杼廟犬必要です。また、大量出血をしている場合も同様です。

 医療ドラマを見たことがある人はよくご存知かもしれませんが、人間の脳は絶えず酸素の供給を受けなければならず、供給が止まると約10秒で意識がなくなり、約1分で自律呼吸が出来なくなります。呼吸が止まると、4〜6分後から脳細胞がどんどん破壊されていきます。そのため、2分以内に心肺蘇生が開始された場合の蘇生率は90%程度ですが、4分では50%、5分では25%程度と、時間経過とともに低くなります。
 したがって、その場に居合わせた人による迅速な処置が行われるかどうかが生命を大きく左右することとなります。同時に、脳への酸素供給のため、血液も同様です。大量出血の場合には、迅速な止血が最も重要です。
 人間の血液は、体重の約1/13程度で、体重60kgの人は体内に約5リットルの血液量を有しています。そして、その1/3、約1.5リットル程度を失うと死に至ります。特に大動脈などを切断すると、1.5リットルなどは1〜2分で噴き出してしまいます。
 倒れた人を蘇生させるためのポイントは、迅速な脳への酸素供給と止血、そしてポンプたる心臓の状態を正常に戻すAEDです。
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 倒れた人を助けるためには、呼吸をしているか、出血していなかということをまず確認して、心臓が止まっていたらAEDによる迅速な処置を実施してください。
 AEDは、最近では我々の身近な所に数多く設置されており、一般の方でも突然の心停止に対処することが出来るようになっている素晴らしい機器だと思います。
 AEDは、Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、日本語訳は自動体外式除細動器といいます。小型の機械で、対象者に貼ったパッドから自動的に心臓の状態を判断し、血液を全身に送ることができない状態を起こしていれば、強い電流を一瞬流して心臓にショックを与え、心臓の状態を正常に戻す機能を持っています。電源を入れれば音声が使い方を順に指示してくれるので、誰でもこの機器を使って救命することができます。とは言いつつも、心臓マッサージ、状況によっては人工呼吸を併用する必要もあり、経験のない方が使用するにはハードルが高いと思われますので、事前に使い方等を習っておくことが肝要といえます。
 最近では、街のイベントやマンションの防火訓練等で軽易に体験できる機会が多くなってきていますが、確実に使い方等を習得するには、自治体等が実施する防災リーダー教育や消防署が実施している普通救命や上級救命の講習会などに参加した方が、より多くの知識と技能を習得できるかと思いますので、是非とも地元の自治体や消防署等に問い合わせてみてはどうでしょうか。

 次回は、私の体験談をご紹介するとともに、「人命救助の基本」についてまとめてみたいと思います。