危機管理業務部 研究員
 見乗 利一

 今年は阪神・淡路大震災から20年という節目の年です。
 阪神・淡路大震災が発生した後も大きな災害が頻繁し、今また南海トラフ巨大地震や首都直下地震に対する警戒の必要性が叫ばれています。
 阪神・淡路大震災の発生は早朝でしたが、東日本大震災は平日の午後の発生であり、東京都内でも帰宅困難者が多く発生したことは記憶に新しいところです。

 首都直下地震の際、東京都内などの高層ビルや地下街、電車やエレベーターの中など、様々な場所にいる可能性のある私たちが一体どのような対応を執ればいいのか、普段から考えておく必要があると思います。
東京の街並み
 ビジネスマンが職場にいる場合、自らの安全と、場合によっては、当面の仕事の維持、またはお客様の安全や地域での対応活動まで求められる場合があります。
 国の防災についての基本的な考え方を示す「防災基本計画」には、企業に対して、防災上、―抄醗、顧客の安全確保、∋業活動の維持と社会経済の安定、C楼菲漂匈萋阿悗旅弩ァ△箸いΓ海弔量魍笋示されています。
 これらを実行するためには、日頃の備えとして建物の安全、オフィスの家具やコピー機などの固定による安全化は必須事項ですし、事業継続計画(BCP)も必要でしょう。
 また、最近では、ヘルメットや運動靴を含めた帰宅支援セットなどが入った非常持出袋を会社側が準備し、各自のロッカーに保管させているという防災意識の高い会社も増えています。

 東日本大震災の時には、遠距離を徒歩で帰宅した人達が600万人いたとの資料もありますが、夜間に停電等で信号が作動していなかったり、道路の損壊、建物の倒壊、公共交通機関の運行停止、延焼火災、ライフラインの被害等が生じることを考えれば、「むやみに移動をしない」という選択肢が一番妥当なのかもしれません(「首都直下地震対策大綱(平成22年1月修正)」に記載)。

 また、高層ビル街を歩いて移動中に突然地震に襲われ、ビルのガラスが頭上に降り注いだ場合、手に持っている鞄を10cm位浮かせて(クッション性を高め)、頭をカバーする方法があるそうです。

 電車(地上)での移動時に地震に遭遇したならば、急停車に備えて、手すりをしっかり握り、万が一車内に火災が発生した場合には、備付の消火器で初期消火にあたると同時に乗務員に知らせる。そして、地震の際には、線路上で感電するリスクがあるため、むやみに外に出ない。また、車内での閉じ込めに備え、普段からペットボトル1本と大きめのハンカチ(口を覆ったり、傷口を押さえることができる。)や小さなLEDライトなどを携行しておく、など、自分の周りで起こるリスクを予想したうえで自分なりに対応手段を講じておく必要があるでしょう(非常時にたくさん物があれば、それに越したことはありませんが、なにぶん荷物が重くなるので贅沢は言えません)。

 今や書店に行けば、「大震災時の危機対応マニュアル」などといった書籍も、様々な種類の物が数多く陳列されています。
 地震・津波、風水害など、「自分にとって最も心配と思われるリスクをどのように回避するか」について興味を持つと同時に、少しでもそのための事前対策(手段)を講じておく必要があるのではないでしょうか。