危機管理業務部 主任研究員
 椿山 巖

※「住民避難シリーズNo.8」のつづき。
 「No.8」は、2014年8月25日付の記事を参照ください。



 これまで、私の担当回では、災害時における「住民避難」に係わる防災関係機関の資料などをご紹介してきましたが、今回は、より具体的に「津波避難」に注目してみたいと思います。

 スマトラ沖大地震(及びインド洋津波被害)や東日本大震災では、ビデオカメラや携帯電話などの普及もあり、多くの津波映像が残されました。これらの映像は、海岸付近や川の河口付近に住む世界中の人たちに大きな衝撃を与えたと思います。実際、東日本大震災の時には、私自身も、慌てて家族に電話したことを今でも覚えています。

 日本周辺においては、これまでにも海溝型の大規模地震が発生しており、これに伴う津波によって、甚大な被害を受けてきました。そのため、内閣府防災担当は、上記の津波災害以前の平成17年6月に「津波避難ビル等に係るガイドライン」を発表しました。
 このガイドラインは、高台までの避難に相当の時間を要する平野部や、背後に避難に適さない急峻な地形が迫る海岸集落、また、地震発生から津波到達まで時間的な余裕が極めて少なく、避難のための十分な時間を確保できない地域に対する現実的な対応策として、一時退避のための津波避難ビル等の指定、利用・運営手法等について示したものです。

 必要性はあるものの、十分に普及していなかった津波避難ビル等の指定数は、多くの方が犠牲となった東日本大震災後、下表のとおり、一部の地域で飛躍的に上昇しています。
 ただ、こういった流れが一時的なものとならないよう、地域住民、施設所有者、観光客等へ津波避難ビルを周知するとともに、行政と地域が連携して訓練や研修などを継続していくことがとても大切だと思います。
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