危機管理業務部 主任研究員
 清水 信雄

※「先輩の教え(その3)」のつづき。
 「その3」は、2015年8月24日付の記事を参照ください。



 今回も、前回に引き続き「先輩の教え(その4)「大切な地図と危機管理」と題して、地図の活用に関するお話をご紹介します。

 ある日、我が家のテレビでお笑い番組が流れていました。人気漫才コンビのNが、お得意のネタで観客を笑わせています。

漫才師A
「皆さんどうも〜、漫才コンビのNです。よろしくお願いします!」

漫才師B
「テニスの錦織選手が、また試合に勝ってベスト8に入りましたね!」

漫才師A
「日本人としては嬉しい話ですね。
 そういえば、テニスコートは、物の大きさの比較でよく使われますね?」

漫才師B
「例えば、完成した豪華客船のデッキの広さは、テニスコート100面分に相当するとか?」

漫才師A
「そうそう! 東京ドームもよく使われますね!」

漫才師B
「・・・どんな風に?」

漫才師A
「昔、ジャイアンツの王選手がホームランを打っていた後楽園球場は、東京ドーム1個分だったとか!」

漫才師B
「当たり前でしょ! 後楽園球場の後に、東京ドームを建てたの!!!」


 この漫才コンビNは、この後も物の大きさの比較についてのネタで、観客を笑わせていました。

 私が自衛隊の若手隊員であった頃、こんなこともありました。
 世界情勢に関する教育の準備をするため、先輩と一緒に机や椅子、それに大きな地図を教場に並べていた時、その先輩が準備している地図とは全く位置的に関係のない日本の形に切り取った厚紙を地図の片隅に貼ったのです。

「…あの〜先輩、大変失礼ですが、日本の位置が違います…。」

先輩
「分かってるよ。」


「なぜ、そんなところに日本を…?」

先輩
「俺の余計なサービスだ。いくら地図に縮尺が書いてあるといっても、一目見て、
 この国の大きさや街から街への距離はよく分からないだろ?
 だから、だいたい同じ縮尺の日本の形が貼ってあれば、一目で感覚的に面積や距離が理解できる
 と思うんだ!」


 私たちは、日頃、馴染のない土地に興味を持ったような場合、情報誌や関係する地図を広げたりしますが、「どの位の広さなのか?」、「移動するのに何時間位かかるのか?」等、分からないことがありますよね。このような場合、私の先輩がサービスで行っていた「よく知る土地と比較してみる作戦」は、ざっくりとした広さや大きさを感覚的に掴むうえで大変役立つ方法です。
 ネットで調べてみると、だいたい面積が同じ仲間として、以下のようなものが載っていました。
○東京ドーム ≒ 総理官邸の敷地
○JR山手線の内側 ≒ 十和田湖
○東京都 ≒ 岐阜県高山市
○関東平野 ≒ 四国
○本州 ≒ イギリス
○ロシア ≒ 冥王星の表面積

お互いにお隣さんでないものの比較、なかなか興味深いですよね!

 危機管理の業務を行ううえで大変重要な役割を占める地図!地図には、
・必ず東西南北の方向を示す「方位盤
・色々な地図記号が何を示しているのかを説明する「凡例
・現地と比較して地図はどの位の大きさなのかを示す「縮尺
が、地図上に記載されています。また、縮尺には、スケールのような距離尺も描かれており、地図上の距離や面積を知る(測る)のに大変便利です。

 生まれ育った土地や、仕事等でよく知っている場所は、個人の感覚として、その大きさや距離的な尺度は身に付いていますが、あまり馴染のない土地や、写真でしか見たことがない土地について知ろうとする場合、地図の距離尺を使うのは勿論のこと、感覚的に知るうえでは、よく見知った土地と比較できるような処置をしてみてはいかがでしょうか?
(※地図帳の世界のページをペラペラとめくってみると、同じ縮尺の日本の形が参考として位置的には無関係の場所に描かれているものもあり、世界の国々との大きさの比較が一目瞭然になっている場合もあります。)
 そうすることによって、例えば、海外や日本全国で発災した災害の規模や、津波が到達した範囲、河川の氾濫で浸水した地域の面積等を実感として知ることができると思いますし、自分の街に当てはめてみることによって日頃から出来る災害への備えにもなるもの思います。さらには、広域的な応援・受援の際にも役立つものと考えます。
 地図を有効に活用するためには、様々な文具類を使用する他、まだまだ色々な工夫がありそうですね!
04
 次回も、地図に関するお話の続きをご紹介したいと思います。