危機管理業務部 主任研究員
 友部 隆

※「和歌山県広川町に学ぶ津波防災の伝承(その1)」のつづき。
 「その1」は、2015年5月4日付の記事を参照ください。


【はじめに】
 前回、和歌山県広川町において、知れば知るほど納得・感心させられた津波にまつわる伝承方法として、…渡穏廖↓∋童園児津波避難訓練、0陲爐蕕硫个隆曄↓み生梧陵コース、ジ朕妖に納得した事項の5点を挙げましたが、今回は、∋童園児津波避難訓練についてご紹介させていただきます。

【伝承方法 その2「児童園児津波避難訓練」】
〇童園児津波避難訓練とは
 町が計画し、毎年恒例となっている、中学生以下の生徒、児童、園児を対象とした津波避難訓練で、町の防災行政無線の警報を合図に一斉に広八幡神社を始めとする近傍避難場所に避難する訓練です。

納得・感心させられた点
■子供時代から12回以上の津波避難訓練を個人の脳裡に刻み込む勘定
 この訓練に幼稚園、保育園から参加することにより、通常であれば幼稚園3年、小学校6年、中学校3年の12年(1歳児保育から数えたら14年間)にわたって、毎年訓練を繰り返し、暑さ・寒さを含め、身をもって個人の脳裡(歴史年表)、そして身体に刻み込まれることになります。
 「三つ子の魂百まで」と言われるように、多感な時期に避難訓練を繰り返すことよって、津波避難訓練は一生涯忘れられないものになると同時に、身につくものと思われ、これは後世への良き伝承法であると感心させられました。

■共助について身をもって学ぶ。助け合うのが当たり前
 避難の際の合言葉として言われているのが、「6年生と1年生、5年生と2年生、4年生と3年生が手を取り合って避難する」ことであり、実際にそのとおりに行われていたことに感心させられました。
 また、避難の間、幼稚園児を箱車に載せて押している先生が「もうだめ、押してって!」と言いました。恥ずかしがってやらないだろうと思いつつ見ていたのですが、中学生が何のためらいもなく平気で車押しを取って代わっていました。まさに「助け合うのが当たり前」となっており、こういったことがごく普通にできるところが素晴らしいと感じました。
02-01
< 避難の際、箱車を押して避難を手伝う中学生 >

■中学生が真剣、全力で
 周りの目を気にして恥ずかしがったり、照れくさくなりがちの年頃の中学生が真剣に、全力で走り、真っ先に避難場所へ避難していました。しかも、下級生に、小学生に気遣いながらです。見ていてとても清々しく、本当に素晴らしい姿勢だと感嘆した次第です。
02-02
< 訓練時に全力で走って避難する中学生 >

【他の自治体の良いお手本に】
 災害に拘わらずですが、東日本大震災の例を見ても分かるように、大津波被害を受けた直後は非常に強烈な印象が残るものの、数年も経つと風化する、忘れ去られていってしまうのが常のように感じますが、広川町の津波避難訓練をとおして、津波防災を伝承していくためには、不断の努力が必要であることを改めて思い知らされました。
 津波避難訓練を恒例化し、システマティックに印象教育化している和歌山県広川町の伝承方法や取り組みは、他の自治体の良いお手本となるのではないでしょうか。さすがは、防災教材「稲むらの火」発祥の地と感心させられた次第です。

 次回は、「稲むらの火の館」についてご紹介します。