危機管理業務部 主任研究員
 山之内 裕

※「国民保護事態における病院の避難(その4)」のつづき。
 「その4」は、2015年3月10日付の記事を参照ください。



 前回までは、避難を安全・円滑に実施するための対策本部設置について、組織編成や機能などを考えました。今回からは、本題である「避難」について考えていきたいと思います。

【 供“鯑駘尭海亮損棔 
 はじめに、ここで使用する用語について、次のとおり認識を統一します。

●避 難
 「速やかに、病院全体あるいは一部の部門の患者を安全な施設へ退避又は転院させること」を言いま
 す。

●避難準備
 「避難の指示が出た場合に、所定の施設への退避又は転院を開始出来るように準備すること」を言いま
 す。「待機」という場合もあります。

●避難指示等
 「避難の指示及び避難準備指示(待機指示を含む。)」を言います。

1 避難指示等
(1)避難指示等の決定者
   避難指示等は後述の基準により、原則として、病院長(対策本部長)又はその業務代行者が決定、
  発令します。
   ただし、避難指示等の発令が無い場合においても、職員が危険を回避するために行う避難や避難準
  備(待機)を妨げるものではありません。

(2)避難準備(待機)指示の基準
   以下に、避難準備(待機)指示の基準を例示します。
  ア 病院が所在する自治体から避難準備指示が発令された場合
  イ 建物に損壊が認められ、危険度判定等により避難が必要と判定された場合
  ウ 近傍火災による延焼やガス漏れのおそれがあり、安全が確認できない場合
  エ その他の理由により避難が必要と判断される場合

(3)避難指示の基準
   以下に、避難指示の基準を例示します。
  ア 病院が所在する自治体から避難勧告及び指示が発令された場合
  イ 建物の損壊が著しく、天井や柱の亀裂、窓枠の歪み等が認められる場合
  ウ 国民保護措置としての要避難地域に指定された場合
  エ その他、病院内に留まることが危険と判断される場合

2 入院・外来患者の状況把握
  病院長(対策本部長)又はその業務代行者から避難指示等が発令された場合、病棟(大規模病院では
 フロアー)ごとに入院患者と外来患者をグループ分けし、外来患者は原則として、帰宅を要請すること
 が適当と考えます。

(1)患者のグルーピング
   避難対象の患者の掌握、管理を容易にするため、避難の方法や搬送方法に基づいてグループ分けを
  行います。
   ア 避難のグループは、以下の3つにグルーピングします。
    |漢患者
     寝たきりでストレッチャーやリクライニング式の車椅子を使用しなければならない座位の保持
     が困難な患者
    護送患者
     歩行補助具や車椅子を使用するが、座位の保持が可能な患者
    F畔盍擬
     自力歩行が可能で、車の座席での座位保持が可能な患者
   イ 各避難グループは、主治医又は転院調整班に所属する医師(以下、「主治医等」と言いま
    す。)が患者の容態、症状等に応じて選定します。
   ウ 患者は避難グループに応じて、色分けした識別用の名札を首から吊り下げます。
10_01
< 避難グループに応じて色分けした識別用の名札の例 >

   エ 各病棟(フロアー)の避難統制・管理班において、避難に備えて、下図に示すような様式1
    「入院患者一覧」を作成しておくと効率的なグルーピングが行えると思います。
10_02
< 様式1「入院患者一覧」 >

(2)報 告
  ア 各病棟(フロアー)の避難統制・管理班は、様式1「入院患者一覧」の避難方法、傷病名、移
   送・療養上の注意事項等を主治等に記入して貰います。
  イ 避難統制・管理班は、様式1「入院患者一覧」を常に最新の状態に更新することが重要です。
  ウ 避難統制・管理班は、様式1「入院患者一覧」を転院調整班にコピーを渡し、常に情報の共有を
   図っておくことが効果的です。


【閑話休題】
 お約束通りの「スカイツリー」です。今回も、明け方の画像です。コントラストが綺麗でした。
10_03
10_04