危機管理業務部 主任研究員
 山之内 裕

※「国民保護事態における病院の避難(その6)」のつづき。
 「その6」は、2016年12月5日付の記事を参照ください。



 前回は、避難(転院)の際の搬送について考えてみました。
 今回で最終回となりますが、患者搬送と同時に持ち出す物品の主なものと、避難後の設備や<b>医薬品の管理について、少し整理してみたいと思います。
 ただし、さすがに病院での勤務経験はありませんので、過去の国民保護訓練の資料を参考にさせていただきます。

【 供“鯑駘尭海亮損棔 曖魁“臓〜 のつづき
(4)非常時持ち出し物品
   非常時の持ち出し物品については、平素から検討して「非常時持ち出し物品等一覧表」を各部署で
  作成しておくことが必要と思います。

  ア 患者関連書類等(転院調整班)
  (ア)入院患者名簿(持ち出し担当:入退院係又は事務担当者等)
  (イ)病棟(診療科別)日誌(救急部日誌やICU日誌を含む。)
  (ウ)患者指示一覧(カーデックス)(病棟別(診療科別))
  (エ)手術台帳
  (オ)看護部(病棟別(診療科別))
  (カ)その他必要と考えられる記録書類等

  イ 診療関連品等(転院調整班)
  (ア)薬剤等は、患者の搬送中に必要となるものや転院先の病院に不足しているもの、応急的に必要
    となると予測されるものに限って持ち出します(一般的な薬剤などは、転院先の病院での対応を
    調整します)。
  (イ)蘇生機材、救急診療器材等も必要最小限のものを持ち出します(救命用具は、原則として転院
    先の病院での対応を調整します)。

4 避難の完了
  対策本部は入院患者の避難(搬送)が完了した後、以下の報告、連絡等を実施します。

(1)所在する自治体の保健・医療・病院関係部署へ避難(搬送)の完了の報告を行います(異常の有無
  を含む)。
(2)患者家族への転院先病院等の連絡を行います。
(3)転院先病院への医師や看護師の不足に対する医師や看護師の派遣の調整を行います。


【 掘“鯑餮紊寮瀏・医薬品等の管理 】
 国民保護事態では、病院の避難だけではなく、要避難地域の住民が避難完了後の地域の防犯対策が不可欠です。過去の訓練では、この点についての議論はほとんどありませんでした。東日本大震災による福島第一原発事故のように避難が長期に及ぶ場合のペットの野生化問題を含めた各種の対策が必要です。
 病院の避難についても、避難後の対策は不可欠です。病院は、ボイラー・電気・ガス・酸素ボンベ貯蔵室等の危険設備や麻酔・麻薬・試薬、また、患者や医師等の個人情報を保有しています。
 国民保護事態における要避難地域と指定された場合、病院全館の避難となりますので、二次災害の防止や医薬品等の盗難・個人情報の漏えい防止策が必要です。さらに、無人化した病院にテログループが侵入する可能性も否定できないことから、所在する自治体に対して、警察や自衛隊による警戒・警備の要請も必要です。
 平素からの各部署でのチェック事項や手順等の参考を以下に例示します。

 ヽ読署の安全担当職員は、ボイラー・電気・ガス・酸素ボンベ等の委託業者と連携して避難完了後の
  各設備の停止を行い、二次災害(偶発的な火災や爆発等)の防止に努めます。
 医薬品の担当職員は、医薬品等の保管について各部署に盗難防止策を講じるよう要請するとともに、
  その確認を行います。特に、麻薬や向精神薬については、厳重な管理が必要です。
 5ヾ錣涼甘職員は、各部署に危機の安全停止や電源の切断について要請するとともに、自らその確認
  を行います。
 ち歓Πは、病院内に保有する個人情報の盗難・漏洩防止策を講じます。可能であれば、転院先や自治
  体の保健・医療・病院関係部署への依頼を含めて、安全な場所での保管も考慮します(部屋の施錠、
  電子機器のシャットダウン、伝票等の処分等)。



【 結 言 】
 複数回にわたって過去の国民保護訓練の資料を参考に、素人なりの考えを書かせていただきました。病院の避難には、搬送手段、容態に応じた受入先病院の確保、特に国民保護事態の場合の安全の確保等々、難題が多く存在します。
 今後も、病院の避難をはじめ避難行動要支援者の避難について、図上訓練や実動訓練、検討会、研修会等を通じて勉強していきたいと思います。特に、緊急消防援助隊が要避難地域での活動に難色を示している現状の問題点等の対策についても考えてみたいと考えています。


 最終回は、明け方に撮影した東京スカイツリーです。
 初回から、「息抜き」の意味も込めてブログの最後にスカイツリーの写真を何枚もご紹介させていただきましたが、少しはお楽しみいただけましたでしょうか。
 今では、入院中に病室から見たスカイツリーの情景を懐かしく感じつつ、やはり「健康が一番」であることを痛感しながら、毎日を過ごしております…。
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