危機管理業務部 危機管理一課長
 松並 栄治

 今回は、救急医療において、医者が救急現場に進出して患者を治療する手段としてのドクターヘリ、ドクターカー等についてご紹介します。

■ドクターヘリ
 日本では、医師がヘリコプターに乗って患者の元へ駆けつける点を強調して「ドクターヘリ」と呼ばれていますが、一般にはヘリコプター救急、英語で「Air Ambulance」もしくは「HEMS(Helicopter Emergency Medical Service)」と呼んでいるそうです。
 ドクターヘリは、医療機器を装備し医薬品を搭載したヘリコプターに医師と看護師が乗って救急現場へ出動、そして患者のそばに着陸し、その場でけが人や急病人を治療し、病状に適した医療施設へ患者を搬送するシステムです。このことによって、治療開始を早めることになり、重体の患者の命を取りとめたり、治癒までの期間を短縮することができるそうです。
ドクターヘリ
【 ドクターヘリ(※国民保護実動訓練時に撮影) 】

 日本で初めて正式にドクターヘリが配備されたのは2001年4月ですが、世界の国々の早いところでは、ドイツとアメリカで1970年からヘリコプター救急を開始、次いでスイス、フランス、イギリス、オランダ、オーストリアなどで救急ヘリコプターの配備が進んでいます。2018年3月現在で、下図のとおり、全国42道府県に52機のドクターヘリが配備されているそうです。
 このようなドクターヘリですが、多額の運営費がかかるため国と自治体に負担がかかり、この負担金をいかにして捻出するかが、今後のドクターヘリ普及の鍵と言えそうです。
ドクターヘリ保有数
【 日本におけるドクターヘリの配備数 】

■ドクターカー
 救急車は、ケガや病気で緊急に治療が必要な場合、一般車両より優先的に道路を通行し、患者を病院に搬送します。救急の受け入れが可能な医療機関では、医療スタッフがあらかじめ連絡を受け、患者の到着を待って診察・治療を行います。
 しかし、一刻を争う緊急性の高いケースでは、いくつかの自治体や病院は医師が乗り込んだ緊急搬送用のヘリコプター(ドクターヘリ)を持っていますが、天候や離発着の場所に制限を受けることが弱点となっており、こうした理由から、生命の危機が迫っている場合や事故現場などで救出に時間がかかる場合に備えて、2008年4月に道路交通法が改正され、都道府県または市町村の要請によって医療機関が医師を派遣できる緊急車両、いわゆる「ドクターカー」が導入されました。
 ドクターカーは、消防本部指令センターの要請により、医師と看護師を乗せて救急現場に向かいます。そして、車内に常備されている医療機器や医薬品を用いて緊急的な治療を行い、患者の容態が安定したら救急車が最寄りの救急病院へ搬送します。つまり、ドクターカーは、医師や看護師を現場に運ぶのが目的の車両ということになります。
松並_No.17_ドクターカー
【 ドクターカー(※国民保護実動訓練時に撮影) 】

■救急救命バイク
 車両より小回りがきくのがバイクですが、この救急救命バイクは、救急救命士、救急隊員が乗り、現場への到着は通常の救急車と比べると早いということで、迅速に救命措置を行えます。救急での1〜2分は人命を大きく左右するので、大変有効なものだということです。
 世界では、アメリカ、フランス、イギリス等が第一次世界大戦当時からサイドカー付きの救急バイク(サイドカーは、患者輸送用)を活用していたようです。ただ、2輪であるため、強風には弱く出場できないこともあるそうです。

 以上、ドクターヘリ、ドクターカー、救急救命バイクをご紹介しましたが、人を運ぶドローンの開発が進んでいるそうであり、そのうち、ドクタードローンなるものが出てくるかもしれませんね。