危機管理業務部 主任研究員
 比留間 治郎

 前回(その1)は、皆さんに「みずる(MSEL)ゲーム型避難所訓練」の概要についてご紹介させていただきました。

 多くの方から、なぜ平仮名の「みずる」という言葉を使ったのですか?という声が寄せられました。
 MSELという言葉は、広く認知されているHUG(ハグ:Hinanzyo_避難所 Uunei_運営Game_ゲーム)という言葉と違い、世間一般には殆ど浸透していないため読み方を、また、「みずる」という言葉には「流水、水の流れ」を意味するところから、避難所の開設や運営に係る主要な業務の流れを「水の流れ」として捉え、流れてくる様々な事象(イベント)への対応を通じて訓練参加者の皆さんのご理解を促進させようという二つの意味合いから平仮名「みずる」を冠させていただきました。しかしながら、昨今の集中豪雨等に起因する水災害のため避難所生活を余儀なくされている方々の現状を鑑みますと、実際の訓練時に使用する名称は深慮することが当然必要と思います。

 さて、今回(その2)は、「訓練用キット」についてお話をさせていただきます。
 本訓練で使用する訓練用キットは、大きく次により構成されます。
避難所平面図
避難者居住スペース図
施設表示ピース
避難者情報カード
イベントカード
避難所備蓄物資一覧
 また、この訓練キット以外に、パソコン、プロジェクター(スクリーン含む。)、放送設備(可搬型で可)などを使用すると訓練がより効果的に実施できます(無くてもできます)。
 訓練用キットを展開する台(机)として「卓球台程度の大きさ(長さ2.7m幅1.5m)」の準備が望ましいでしょう。ただし、準備する訓練キット構成品の大きさで変わります。

避難所平面図:実際に使用を予定する施設の平面図を加工・拡大します。
 ここでのポイントは、実際の図面(全階)を用いるのは当然として、事前に避難所運営協議会などで施設配置(避難所運営本部、受付、避難者居住場所、情報掲示板 等々)が計画されている場合は、これを記入しておくことです。参加者の大多数の方は、本訓練を通じて初めて各施設の開設する場所を確認することとなり避難所全体像のイメージアップができます。計画されてなければ当然、記載は不要です。

避難者居住スペース図:避難者の居住(収容)を予定する場所の図となります。
この図は「避難者情報カード」を配置するものであり、避難者の居住(収容)のため開放を予定する実際の部屋数を準備するとともに、縮尺は「解放を予定する部屋の実寸」と「避難者情報カード」の大きさに応じ決めます。仮に体育館等を予定する場合、当然その用紙は大きなものとなります。また、「災害時要配慮者滞在場所」等の場所が既に計画されている場合、これ用の図面の準備もしておくとより効果的です。(例示⊃沺

施設表示ピース:開設する各施設を立体的に視認・共有するためのピース(駒)
 試行錯誤の結果、視認性・操作(安定)性、耐久性、作製の容易性から例示図の形状のものを準備しました。この際、機能上の観点からの色別で整理しました。
 また、施設表示ピースを補完するものとして既成の動物・車両模型も併せて準備しておくと効果的と思います。

避難者情報カード:避難者の情報を記入したもの
 識別・共有を容易にするため男女の色を分けるとともに、災害時要配慮者が一見してわかる色彩を施しました。
 ここでのポイントは、カードの大きさはマニュアルにおいて基準(収容数の計算前提値)とされている一人当たりの占有面積を作成前提とすることです。

イベントカード:必要に応じ準備します。
 訓練は基本的にファシリテーターにより、複数の訓練グループを同時に進めますが、訓練参加者の素養等に応じ必要により準備します。無くてもかまいません。

避難所備蓄物資一覧:実際に備蓄している物資(備蓄保管場所単位)
 例えば、飲料水、携帯トイレ、食料、毛布、ペット用ゲージなどを誰がどこから出して、どの場所に配置するかを実際的に考えてもらうために準備します。

 例示/沺避難所平面図)(3階建て施設)
MSEL(その2_画像1)

(2階部および3階部)
MSEL(その2_画像2)

※図面の大きさは参加人数(視認性)、建物の階数、「施設表示ピース」配置上の考慮(使用の利便性)
 などを総合的に検討して決めます。

 例示⊃沺避難者居住スペース図
MSEL(その2_画像3)
MSEL(その2_画像4)

※開放する場所が「体育館」及び「3部屋」(災害時要配慮者滞在場所も3部屋)の場合の一例であり、
 開放場所が多ければ、当然、図も多くを要する。

 例示図(施設表示ピース
MSEL(その2_画像5)

※形は問いませんが、視認性・操作(安定)性、耐久性を考慮することが必要です。
 ちなみにワンちゃんは100円ショップで購入したものです。

 今回は、訓練キットについて紹介しましたが、次回(その3)も引き続き訓練の進め方についても紹介したいと思います。