危機管理業務部 主任研究員
 大木 健司

 福祉避難所とは、一次避難所(一般の避難所)では避難生活が困難な要配慮者などの生活を支援するため、市町村が必要に応じて保健福祉センターや民間の社会福祉施設などに開設する二次的な避難所のことです。
 福祉避難所は、一般の避難所では十分な生活支援をすることが出来ない要配慮者を収容する施設として、「災害関連死」を防止するためにも重要な役割をもっていると思います。
しかしながら、福祉避難所は、高齢者、障がい者、妊産婦や乳幼児、病弱な人とその家族などが入所の対象となりますが、どこの自治体も、その整備は、あまり進んでいないのが現状のようです。
 なぜなら、福祉避難所には、受入スペース(場所)、ベッドやパーテーションなどの生活用品(物)、ヘルパーなどの介護者(人)の3つが必要になりますが、それの確保が難しいからです。特に「人」の確保が一番の課題になっているようです。
 それでは、ひとつひとつについて具体的に考えて見ます。
 「場所」については、様々な施設を利用するケースがありますが、ここでは高齢者を対象に特別養護老人ホーム(以下「特養」と記述)を福祉避難所とする場合を前提に考察します。
 最近の特養は、ほとんどがユニット型の個室(1室1名)タイプで、入所待機者が常時いる状態ですので、福祉避難所として利用できる空室はありません。したがって福祉避難所を開設する場合は、ショートステイ(短期入所生活介護)用の空室とデイルームや会議室などの共用場所を利用して受入れスペース確保することになります。
 避難者一人当たりのスペース(※下図は4屬箸靴仁磧砲鯆蠅瓩董∈匈音に何人受け入れできるかをあらかじめ決めておきます。このスペースに介護者(家族など)が一緒に生活できるようにすれば、適切な介護が行えます。

スペース

 「物」については、災害発生後に確保することが難しいため、平時から福祉避難所用品として、自治体の備蓄倉庫や特養などの施設に準備しておくことが必要と思われます。
 備品としては、「簡易ベッド」、「毛布」、独歩での移動が困難な方のための「簡易トイレ」(望ましいのは、介護用品のポータブルトイレ)、「車椅子」、「歩行器」などでしょうか。
 これらの備品をスペース内に配置して、プライベート空間を確保するためのパーテーションも必要になります。
 非常用の食料品はとして、一般の食料の他に「おかゆ」などが必要と思われます。

【パーテーションの一例】

【パーテーションの一例】

 次に一番重要となる「人」の確保についてです。
 「人」の問題については、看護師や介護士などの専門職ボランティアを災害ボランティアセンターに要請して確保することになると思われますが、災害ボランティアセンターが開設され、専門的な知識や技能を持ったボランティアを組織的に活用できるなるまでには、かなり時間がかかると思われます。(※早くて1週間くらいでしょうか?)
 特養などでは平時でも職員(看護師やヘルパー)が慢性的に不足気味で、常に求人を行っているのが現状ですので、災害時には職員自身が被災することにより、従来の施設運営に必要な職員すら確保できなくなることが予想されます。
 出来るだけ、日常の介護を行っている家族が介護者として付き添って福祉避難所に同行(入所)できれば、「人手不足」の問題をある程度解消できるのではと思いますが、如何でしょうか。
 また、避難所ごとに地域の住民の方々の中から、資格者や経験者をあらかじめ確保(登録制)しておき、福祉避難スペースの運営要員として携わっていただけるようにしておくことも一つの施策ではないでしょうか。