危機管理業務部 主任研究員
 坂上 栄一

 弊社は、昨年度、内閣府の平成30年度地震・津波防災訓練等業務委託を受け、私は、静岡県伊豆市の担当を命ぜられました。その際、特に印象として残ったことは、津波避難時の誘導手段をどうしたらよいかということでした。
 東日本大震災を踏まえて基本的な考え方の中に、海岸利用者に対して防災行政無線やサイレンが聞こえにくい場合、色や光等視覚的に危険が迫っていることを伝達できる手段の普及に取り組む必要があるということです。
 具体的な方法として紹介すると次の3つが挙げられます。
 発煙筒の使用:茨木県大洗町では、津波注意報発令時には「黄色発煙筒」、津波警報・大津波警報時には「赤色発煙筒」を用いて、多くの海水浴客に情報を知らせています。
 国際信号旗「U旗」を振っての使用:静岡県下田市では、ライフセーバーが海岸利用者に向けてパトロールタワーより国際信号旗U旗を大きく振り、避難の呼びかけを行っています。(日本ライフセービング協会が推奨)
 オレンジフラッグを振っての使用:神奈川県では、防災無線が届かない所への情報伝達手段としてオレンジフラッグを考えています。
  (一般社団法人「防災ガール」が推奨)
国際信号旗U旗

国際信号旗U旗

オレンジフラッグ

オレンジフラッグ

 昨年度、伊豆市での津波避難訓練時、海岸にいる観光客避難誘導の手段として、
 ,糧煙筒(赤)、△旅餾歐号旗U旗の2つを使用しました。この2つについて簡単に紹介します。
 発煙筒(赤):今回使用した発煙筒は、水中携行型発煙筒「ダイバーマーカーSOS」という化学火工品メーカーが製造しているその名の通り防水性に優れ簡単・迅速に発煙する物です。救助者自ら使用するということからも信頼性の高いものとなっています。今回は、急遽、避難誘導以外に海岸での救助者位置の表示としても使用しました。救助者役の隊員が海の中で簡単に操作し、赤色の煙を発し、救助を求め、それに対し救助活動をするというものでした。見学者から救助者位置が良く分かり救助の実感を感じたとの感想を頂きました。

発煙筒赤

中央の「濃い赤」がダイバーマーカーSOS

救助

中央の「赤の中の黒点」:救助者

 国際信号旗U旗:これは、海上において船舶間での通信に利用される世界共通の旗です。各アルファベットにそれぞれの意味があります。
  「U」は「貴船の進路に危険あり」を示す
 陸から海上に向けて掲げると「海が危険の為、直ちに海からあげれ」の意味になり、「ここに逃げてください」との思いで旗を振るのです。今回は、この旗を海辺のホテル等の屋上から振って避難者に知らせました。
 実は国際信号旗について調べるといろいろなことがわかりました。津波避難でホテル・避難タワー等の高い建物に避難した際、その建物からいろいろと情報を発信できるということです。偵察等で飛来する海上保安庁・自衛隊・消防のヘリに対し、状況に応じた国際信号旗を振りかざすことで情報伝達が可能となります。一例は次のとおりです。

国際信号旗V旗

V旗:援助を求む

国際信号旗W旗

W旗:医療の援助を求む

 以上紹介した2つの誘導手段、実は見方を変えると他の活用方法があるということがわかりました。逆に他の有効な誘導手段が、見方を変えれば見つかるかもしれません。「何かないかと思いつつ」、普段の生活を見回していると意外なものを発見するかもしれません。