危機管理業務部 主任研究員
 廣塚 雅史


 平成7年の阪神・淡路大震災を契機に、行政における消防力・防災力の強化と並行して、住民による自主防災組織の育成が防災行政の重要項目に据えられることとなりました。
 各自治体においては、阪神・淡路大震災以降の大規模災害の教訓を踏まえて、自助・共助の重要性の啓発とともに、自主防災組織の核となる町会長等の研修に力を注いでいます。
 しかしながら、自主防災組織については、社会環境の変化(メンバーの高齢化と後継者の不足、都市部での新住民(マンション等若い転入者)と旧住民(在来の居住者)との交流不足、外国人居住者の増加)や、住民の生活様態(都市部の平日の昼間は大多数が都心に通勤・通学し、平日の昼は自宅には子供や老人しか居ないのが実態)や、地域活動への無関心層の増加などを踏まえ、住民一人一人の防災行動力と地域防災力の観点から、表面的な自主防災組織の結成率とは全く乖離した実態であるというのが現状だと思います。
 地域によっては自主防災組織自体が、機能不全に陥っており、災害発生時に実質的に機能するのは、せいぜい1〜2割であると指摘されている地域もあるそうです。これからの、少子高齢化を考えると、これらは喫緊の課題であると言えましょう。弱体化した地域社会(硬直化した町内会、自主防災会)に自主防災の機能を持たせようとしてもうまくはいかないと思います。自主防災活動を、地域内・外に新たな人間関係を生み出していく契機として捉え直し、さらには、暮らしに根ざした新たなコミュニティを形成していく触媒として捉える工夫が必要ではないかと思います。
 そのための具体的な取り組みの一案を提示したいと思います。
〇匐,燭舛家族を含めて公園等で楽しみながら防災を学ぶ
 (防災フェア、防災競技会)
 (水消火器的当て、バケツリレー、ジャッキアップ救出競争、紙食器作り、毛布担架のタイムトラ
 イアル、防災クイズ 等)
中学生ボランティアが高齢化率の高い集合住宅の防災訓練の準備から撤収までを担任
 (参加中学生ボランティアに市長か校長の証書⇒進学にプラス、市長・校長の了解)
市民祭り、地域の夏祭りの場での消防団・消防の訓練展示
 (家族を通じた新旧住民交流)
せ匐,亡悗垢襦崔楼茱灰潺絅縫謄(スポーツ、カルチャー等)」への外国人の参加
ニ媛佶漂劵ぅ戰鵐箸亮知・連絡に学校やPTAの連絡ネットワークを活用
自治体の防災部署の担当者による学校実施の引き取り訓練、部外講話の実施
 (学生、父兄に区分した内容の簡単な講話、中学生への防災講話(試験後等))
 (学校の引き取り訓練後に、学校の保有する通信機、防災倉庫の中身、備蓄食料等について教職員
 に確認)
Ъ主防災会へのお届け講座として、避難所運営ゲーム、クロスロード、DIG等を実施
┝主防災会にDIGを主体的に実施
 (地域の特性について防災リーダーが住民に認識)
 (地域の危険個所、独居老人等の要支援者宅、消防団員宅、重機取扱者宅、看護士宅等)
新規採用職員や新着任教員の研修に地域防災計画や自治体の防災上の特性教育を実施
消防の支援により避難はしごを使った訓練や隔壁破壊訓練など、普段あまり行われない訓練を取り
入れることで新規層の取り込みに効果(マンネリ訓練の防止)
実際の災害時の映像などの視聴覚教材を有効に使い防災講話の効果をアップ
保育園児には「子供を守る」というテーマでお迎えの時間に合わせ応急救護訓練を実施
外国人向けには火災発生の様子を再現したDVDを活用した映像、国際協会などの他機関と連携、
他言語のチラシの作成や語学ボランティアの派遣などの協力、モスクのリーダー格への参加の働き
かけ
防災への動機付けの不足については、現在の防火防災訓練の内容が消火器、AED等の道具の使い方
や知識の教示を重要視しており、防火防災訓練の必要性の伝え方や当事者意識を促す工夫があまりされていないことが要因として考えられる。指導の内容が派遣される職員の個人的資質に頼られていることについては、職員の個人的資質を高める育成も必要であるし、防火防災訓練の推進方法も課題である。
 これらの事から自治体(地域)で計画的に防火防災訓練を推進していくことが重要だと考えられる。
 ⇒地域での防災リーダーの育成
参加者に高齢者が多い場合、体力を考慮したり、高齢者の経験などを活かしたりできる内容の防火防災訓練をセッティングする工夫も必要と考えられる。