営業部長
 大宅 憲二

 東日本大震災の「想定外」ということを繰り返さないため、太平洋沖の「南海トラフ」や首都直下の巨大地震における津波や震度の想定が相次いで見直され、最新の知見を踏まえ「千年に一度」の最大級の被害を想定した見直し内容が発表されました。
 市町村別の最大津波高は、中央防災会議が2003年に発表した津波高から、神奈川県鎌倉市では3.2mを9.2mに、同じく逗子市では2.6mを8.2mに、静岡県熱海市では1.4mを5.4mに、同じく下田市では7.5mを25.3mに、愛知県豊橋市では6.6mを20.5mに、三重県鳥羽市では8.2mを24.9mに、和歌山県すさみ町では7.0mを18.3mに、高知県土佐清水市では12.4mを31.8mに、同じく黒潮町では14.1mを34.4mに、それぞれ3倍前後も高く想定されております。

 津波から国民を守るために、海岸線全てに堤防を整備するなどのハード面を強化するのは非現実的と思われますし、津波による浸水想定地域の住民を高台に移転させるのも財政的に困難と思われ、高齢化が進む日本にとって日常生活に支障をきたすといった問題も生じます。また、高台移転に伴う山地の開発によって土砂災害の発生頻度が高くなるとともに、開発による樹木の減少により周辺海域の環境悪化も懸念されます。
 新想定の発表に伴って国民に広がる不安を払拭するためには、「今後どのように対処していくのか」といった明確なメッセージの発信が必要不可欠ですが、東日本大震災の教訓を生かすとともに、広域災害への備えを図るためにも、各自治体には広域応援・受援体制の整備を早期に検討する必要があると考えます。
津波被害
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