危機管理業務部 主任研究員
 椿山 巖

 災害時において「住民避難」は、とても重要なテーマの1つです。「いかに住民を避難させるか」は、「いかに被害を軽減するか」に大きく関係しています。

 私の担当回では、「住民避難」を基本にして、防災関係機関等の資料を参考に、気になっていることなどを紹介していきます。
 第1回目は、中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会報告(平成22年4月)」からです。

 サブタイトルは、「首都圏水没 〜被害軽減のために取るべき対策とは〜 」。とても恐ろしい映画のような、大胆なタイトルですね。ここでは、利根川で6類型、荒川で5類型の浸水想定が検討されています。各類型別の代表決壊地点からの氾濫による浸水範囲が載っていますので、関係する自治体にお住まいの方やお勤めの方は、避難について、再確認する必要があると思います。
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 上の写真は、数年前にカスリーン台風の決壊地点に行った時のものです。小さな公園が整備されていました。決壊するなんてことは、とても想像できないほど大きな堤防ですが、堤防は長い歴史のある構造物で、築堤履歴もよくわからないので、信頼性は必ずしも高くありません。油断はできないのです。
 写真の地点が決壊した場合、浸水面積が約530㎢、浸水区域内人口が約230万人と想定されています。やはり、避難所や連絡先を確認し、災害に備えることが重要ですね。