危機管理業務部 主任研究員
 松田 拓也

※「新米パパによる我が家の危機管理 〜第1回 建物の耐震性の確認〜」のつづき。
 「第1回」は、2012年6月11日付の記事を参照ください。


 9月1日は「防災の日」でした。防災の日とは、関東大震災の経験を踏まえ「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備するため、「防災の日」を創設する」と1960年に閣議で了解されたものです。毎年、全国各地で防災イベントが行われています。
 また、8月30日から9月5日は防災週間として、各機関で防災に関する様々な取り組みが行われています。NTTでも、この期間は災害用伝言ダイヤル(171)及び災害用伝言板(web171)の体験ができるようです。皆様も試してみてはいかがでしょうか。

 さて、このシリーズは「子供を守る」という目線で、家庭における危機管理の在り方をテーマに書いています。
 第1回では、建物の耐震設計基準を確認しました。阪神大震災では、被害者の死因の約8割が圧死・窒息死です。地震が発生した場合、建物が倒壊しなければ生存の可能性が上がります。さらに生存の可能性を上げるためには、家具の転倒による圧死・窒息死を防ぐことが重要です。
 そこで、第2回では「室内の安全確保」についてご紹介していきます。

 前回の記事の冒頭で、「ベビーベッドを置く位置というのは最も危機管理が行き届いた場所ではないか」と記述しました。室内での安全確保のためには、ベビーベッドが置けるような「家庭内避難場所」を作っていくことが重要と考えます。

 私の家を一例に考えてみます。下の図が我が家の間取りです。
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 まず、この図に配置されている家具が全て倒れた場合の危険場所を展開します(赤で囲んだエリア)。すると、上の居室の一角とダイニングテーブルの上側が安全な場所(青で囲んだエリア)だとわかります。この安全な場所を我が家では「家庭内避難場所」と呼んでいます。
 人が起きている時間に地震があった場合、もしくは緊急地震速報が吹鳴した場合は、直ちに「家庭内避難場所」に避難すれば、家具による圧死・窒息死から免れることが出来ます。
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 しかし、ここで問題が発生します。私がいつも寝ているワードローブ下が危険地域になっています。また、せっかく押入れに準備した非常持出袋が取れません。さらに、避難時には扉が開かない可能性があります。
 そこで私の家では、家具を天井に固定する突っ張り棒や、家具を後傾させる転倒防止板を使って転倒防止策をとりました。突っ張り棒は2本で4,000円、転倒防止板は100円ショップで10枚買ってきたので、合計5,000円の転倒防止対策です。
 この対策によって、家具の倒壊を5秒でも10秒でも遅らせることが出来れば、寝ている時に地震が起きても「家庭内避難場所」に移動する時間を稼ぐことが可能になります。
 転倒防止策を施すことによって、下の図のように「準安全場所緑で囲んだエリア)」が出来ました。
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 私の娘はまだ生後4か月と小さく、歩けないため、常に「家庭内避難場所」もしくは「準安全場所」に寝かせるようにしています。
 我が家の今後の課題としては、避難の妨げとなる洗濯機や靴箱の転倒防止策、非常持出袋の配置などが挙げられます。非常用持出袋は、キッチンで火災があった場合を考慮すると、パソコン机の裏側あたりの「家庭内避難場所」に置いておくのがベストでしょうか。

 私の家の対策を例に説明しましたが、皆様のご家庭でも「家庭内避難場所」を確認するとともに、「準安全場所」を作る対策をとってみてはいかがでしょうか。

 次回は、圧死を免れた後に必要となる「備蓄」について、私の準備している非常持出袋を例にご紹介していきます。