危機管理業務部 主任研究員
椿山 巖
※「住民避難シリーズNo.2」のつづき。
「No.2」は、2014年3月28日付の記事を参照ください。
災害時において「住民避難」は、とても重要なテーマの1つです。「いかに住民を避難させるか」は、「いかに被害を軽減するか」に大きく関係しています。
私の担当回では、「住民避難」を基本にして、防災関係機関等の資料を参考に、気になっていることなどを紹介していきます。
第3回目は、前回に続いて、中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会報告(平成22年4月)」から。
200年に1度の発生確率の洪水により、荒川の堤防が決壊した場合、現況程度の地下鉄の止水対策では、最大17路線、97駅、延長約147kmが浸水する可能性があるそうです。
これまでにも、平成11年6月29日の福岡市博多駅周辺や平成12年9月11日の名古屋市営地下鉄などで浸水がありましたが、出入り口の止水板、換気口の浸水防止機、坑口への防水壁の設置などで、大幅に浸水空間を少なくすることが可能ということです。
ただ問題は、時間のようです。荒川右岸21.0kmが決壊した場合、11分後には、南北線赤羽岩淵駅へ氾濫水が流入しますし、決壊箇所によっては、3時間余りで大手町駅などが浸水することも確認されています。地下鉄が動かなくなるだけでなく、大きな人的被害が予想されます。
河川管理者は、地下施設管理者との情報連絡体制をしっかり構築しておくことが重要です。
また、地下施設管理者は、平素から、いかに早くお客様を避難させるか、いかに早く止水対策を行うかといった訓練することが大切です。
そして、私たちは、意識改革をして、大雨などの場合は、状況を十分把握したうえで、地下鉄を利用しなければなりませんね。