危機管理業務部 主任研究員
 福島 聡明

※「避難所の開設・運営等に係る重要事項について考える(その2)」のつづき。
 「その2」は、2012年11月12日付の記事を参照ください。



 今回は、「避難所に必要な施設」についてです。

1 施設の配置(レイアウト)を決める
 高齢で体の不自由な人、乳幼児、妊婦、車椅子の人、外国人、病気の人、旅行中の団体、親を亡くした子ども、ペットを連れた人、車で来る人など、避難所にはさまざまな事情を抱えた避難者が続々と集まってきます。これらの方々を安全かつ円滑に収容するために、まず行うべきことは何でしょうか?
 それは、避難所となる学校等施設の配置(レイアウト)を決めることです。
 施設の配置(レイアウト)については、施設管理者や自治体と協議し、避難所として使用可能な範囲を明確に決めます。この際、建物の見取り図等を参考に、避難所を運営するためのレイアウトを手早く決めます。
 なお、避難所のレイアウトは、各学校の特性等に合わせてあらかじめ作成しておき、学校の備蓄倉庫等に保管する備蓄品と一緒にしておくことが望ましいでしょう。

2 避難所で確保が必要となるスペース
 避難所運営等に関して確保が必要と考えられるスペースは、下表のとおりです。
避難所運営に必要と考えられるスペース(例)※クリックすると拡大します。

 避難所開設直後からすべてのスペースを設置する必要はなく、当初は避難者の数も多いため、専ら居住スペースに多くを割かれることが予想されます。しかしながら、長期の避難が予測される場合は、他の必要となる公共スペースについても、教室やグラウンド(運動場)、中庭等のオープンスペースの利用について、見通しを立てておく必要があります。
 食料・物資保管場所や仮設トイレ等は、一旦設置すると移動しにくいことから、施設本来の授業再開の妨げとならないよう注意が必要です。
 仮設トイレの設置にあたっては、夜間に子どもや女性が一人でも行けるような安全な場所(可能であれば、照明等を設置して明るくする。)という点にも気を配る必要があります。また、季節によっては、寒さが出入口付近等の避難者(特に高齢者)を苦しめることも考えられますので、その点についても配慮が必要です。
 なお、総じて、プライバシーの保護女性の視点及び災害時要援護者への配慮等に留意し、必要となるスペースを確保することが大切です。

3 避難所となる学校等施設(場所)の使用について
 避難所となる学校等施設(場所)の使用についての一例は、下図のとおりです。
避難所となる学校等施設(場所)の使用について(例)※クリックすると拡大します。

 体育館、教室の開放順序及び教室等の使用統制については、学校本来の機能である「教育の場」という前提に立って、学校(教育)の早期再開のことを考えながら使用する必要があることに留意しましょう。

 次回は、「避難者収容の考え方」について考えていきます。