危機管理業務部 主任研究員
椿山 巖
※「住民避難シリーズNo.4」のつづき。
「No.4」は、2014年3月28日付の記事を参照ください。
災害時において「住民避難」は、とても重要なテーマの1つです。「いかに住民を避難させるか」は、「いかに被害を軽減するか」に大きく関係しています。
私の担当回では、「住民避難」を基本にして、防災関係機関等の資料を参考に、気になっていることなどを紹介していきます。
第5回目は、内閣府が平成21年度に実施した「避難勧告・避難指示を発令した市町村に対する調査結果」から。
調査対象は、平成21年中国・九州北部豪雨、台風9号・18号に避難勧告・指示を発令した108団体(有効回答97団体)です。
まずは、「避難勧告等の発令状況」です。
圧倒的に避難勧告のみを発令した自治体が多く、避難準備情報→避難勧告→避難指示という一連の流れで実施できた自治体は少ないようです。
判断に要する時間は、8割以上の自治体で30分以内と見られており、限られた時間の中でギリギリの判断をしていると思われます。
次に、「避難勧告等の発令を検討するきっかけ」を見ていきます。
最も多い回答は、「危険な状況と認識したから」ということですが、危険を察知する感覚は個人個人で大きく異なります。
避難勧告等の判断は、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(集中豪雨時等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会)」などを基に、各自治体で明確な基準が定められつつありますが、的確な実施は難しいようです。
今後は、訓練や研修を定期的に実施して、本番に備えることが必要だと思います。
また、我々住民としては、地域の防災訓練には積極的に参加して、避難に関する知識を深めることが大切ですね。