危機管理業務部 主任研究員
和知 喜久雄
平成26年4月15日の読売新聞によると、沖縄県石垣市尖閣諸島久場島沖の接続水域では、中国海警局の公船3隻が25日間連続で航行しており、その内3月19日、4月12日は一時領海内に侵入したとのことでした。
中国漁船との衝突事件以来、中国は執拗に公船や航空機を尖閣諸島に送り込んできており、領土・領海問題は過熱してきていますが、今後の展開を危惧しているのは私だけでしょうか。もし中国が本気になったらどうなるのでしょうか。尖閣諸島に上陸してくるだけで収まるでしょうか。「そんな事は起きるわけがない」と思っているのが国民の大半かもしれません。しかし、こういう時にこそ、いわゆる「武力攻撃事態」が起きた際に自分自身(国民)はどうすればいいのかを是非とも知ってもらいたいと思い、「知っていれば困らない国民保護法」と題して、複数回にわたり国民保護法についてご紹介することにしました。
そもそも、「国民保護(あるいは国民保護法)とは何か」ですが、総務省消防庁のホームページでは、以下のように記載されています。
【国民保護とは…】
平成13年に発生した米国同時多発テロ、そして武装不審船事案は国民に大きな不安を与え、新たな危険に備えることの重要性を再認識させることとなり、国家の緊急事態に対処しうる態勢の整備が、ますます重要になっています。
…(中略)…
こうして、平成16年6月14日に国民保護法をはじめとする有事法制関連法が国会で可決され、成立しました。
国民保護法は、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、武力攻撃が国民生活及び国民経済に与える影響を最小とするため、国、都道府県及び市町村の役割分担、指定公共機関の役割、国民の保護のための措置の実施体制等について定められています。
それでは、第1回目の今回は、「国民保護ポータルサイト」についてご紹介します。
このサイトは、内閣官房が国民保護法を国民に広く知ってもらいたいという意図から、国民保護に関する最新情報を掲載しているサイトです。
初めて国民保護法を勉強しようと思っている方は、どこから開いたらいいのかと迷うかもしれません。私は、「国民保護法とは」という箇所をクリックしましたが、すると案の定、文章がずらっと出てきました。そこから一つ一つ紐解いていくわけですが、時間の無い方などは「もういいや」と思ってしまう方もいるかもしれませんので、ポイントとなる2つの動画をご紹介したいと思います。
1つ目は、「武力攻撃やテロなどから身を守るために」です。
サイトの左側中ほどに「武力攻撃やテロなどから見を守るために(パンフレット)」という箇所があります。文字通り、パンフレットが掲載されています。パンフレットは30ページにわたり、武力攻撃事態等が発生したら、警報が発令されたら、身の回りで急な爆発が起こったら等、その時に国民がどのような行動をとればいいかを解り易く紹介しています。
このパンフレットの内容を映像化したものが、映像版「武力攻撃やテロなどから身を守るために」です。ちょうど10分間ですので、まずはこの動画を見て、国民保護の概要を理解してから本格的に勉強していくと理解が早いかと思います。
< バス爆破テロのイメージ(国民保護訓練支援時に弊社が作成) >
2つ目は、同じくサイトの左側中ほど(武力攻撃やテロなどから見を守るために(パンフレット)の真下)に「参考資料」があります。ここをクリックすると、普及啓発という項目の中に「国民保護のしくみと訓練(消防庁作成映像)」という動画があります。
この動画は、「国民保護の概要と国・地方公共団体の役割」、「国民保護のしくみ」、「国民保護訓練」の3つに区分され、各自治体の役割や、住民の避難、避難した住民の救援、武力攻撃災害への対処等が解り易く紹介されています。同時に、国民保護訓練として、図上訓練と実動訓練の内容も紹介されていますので、各自治体で訓練に参加される方への導入教育には最適かと思います。こちらは、約20分間です。
国民保護法と聞くとそれだけで難しいと思ってしまいがちですが、この2本の動画を活用して、「国民保護法は難しいものではない」、「国民の生命、身体及び財産を保護するものだ」ということをご理解いただけたらと思います。
今回ご紹介した2つの動画は、どちらから先に見てもいいと思いますので、お時間のある時に是非ともご覧ください。
次回も、国民保護法を紐解き、いざという時に困らない内容についてご紹介したいと思います。