危機管理業務部 主任研究員
椿山 巖
※「住民避難シリーズNo.7」のつづき。
「No.7」は、2014年3月28日付の記事を参照ください。
これまで、私の担当回では、災害時における「住民避難」に係わる防災関係機関の資料などをご紹介して参りましたが、今回は、より具体的に、避難所での過ごし方に注目してみたいと思います。
東日本大震災では、6箇所の製油所が操業を停止したため、普段は供給過剰であるにも関わらず、利用者の「買いだめ」が広がり、ガソリンや灯油などは次々と在庫切れになりました。また、この燃料不足に加えて、発災が3月上旬であり、また、被災の中心が東北地方であったことから、避難所での寒さ対策が大きな課題となりました。避難生活という慣れない環境の中、避難所(体育館等)の寒さの影響もあり、風邪を引く人や体調を崩す人が多く見られました。
そこで、すぐに実践できる防寒対策について考えてみました。
1 アウトドア用品
(1)エマージェンシーシートに、しっかりとくるまる
【ポイント】市販されているシートを備蓄しておきましょう。
1人用や2人用があるようです。家族分あると安心ですね。
(2)寝袋を活用する
【ポイント】肩の部分を折って、冷たい空気の浸入を防ぎましょう。
(3)ザック(リュックサック)の中に足を入れる
【ポイント】足からの冷えを防止しましょう。
2 日用品
(1)とにかく重ね着をする
【ポイント】血行が悪くならないように注意しましょう。
(2)毛布を活用する
【ポイント】足元は靴紐などを利用して結び、寝袋のような状態にします。
(3)ゴミ袋を切って着る
【ポイント】頭と腕の部分を切って、頭から被ります。
(4)新聞紙を肌着と上着の間に入れる
【ポイント】新聞紙は、クシャクシャにしてから広げ、空気が溜まるようにします。
この内容は、平成24年度に某自治体で実施された総合防災訓練の計画作成及び運営支援を弊社が行った際、地域住民の方を対象に説明をさせていただいたものであり、「ゴミ袋を切って着る」などを実際に体験してもらい、ちょっとした工夫やアイディアによって、寒さが軽減できることを学んでもらいました。
こういった工夫やアイディアは、キャンプやサバイバルの本などを読むと良いかもしれません。防寒対策だけでなく、良い方法が見つかったら、またご紹介したいと思います。