危機管理業務部 主任研究員
 山之内 裕

※「国民保護事態における病院の避難(その3)」のつづき。
 「その3」は、2015年2月23日付の記事を参照ください。



【 機‖寮の確立 】「1 対策本部の設置」のつづき
 前回は、「対策本部設置の基準」について記述しました。今回は、設置の決定者や伝達・連絡、組織等について考えます。

(2)対策本部設置の決定者
 病院が対策本部を設置する場合とは、診療の一時中止を伴うことになりますから、入院患者等を生命の危険にさらすことにもなりかねません。
 したがって、対策本部設置の意志決定者は相応の立場の者でなければならないと考えます。設置決定者の一例を以下に示します(記述は優先順)。

ア 病院長
 対策本部の長となります。

イ 病院長が不在、又は連絡が取れない場合
 この場合は、”院長、∋務長、4埜酩長 の順で代行します。

ウ 診療時間外における代行者の特例
 夜間や休日などの診療時間外で、上記アもしくはイの者と連絡がとれない時、あるいは判断を仰ぐいとまがない場合は、ゝ澣淺当直医師、∋務当直者、L覿亟埜郢嫩后腹┸μ召漏読賊,念曚覆蠅泙后) の順で対策本部設置の決定を代行します。

(3)対策本部設置の伝達・連絡
 病院が対策本部を設置した場合、院内放送により直ちに院内職員に周知徹底を図り、事前に定めた対策本部要員を集合させ、対策本部活動を迅速に開始します。
 ただし、状況により院内放送が使用できない場合や適切ではない場合には、一斉メールあるいは伝令による連絡方法も考慮しなければなりません。
 また、対策本部設置について自治体や医師会、消防、警察等の関係機関へ連絡し、避難に関する調整窓口を一元化する必要があります。

2 対策本部の組織
 ここでは、入院患者等の避難に必要な機能を考察し、避難に必要な組織を設定します。

(1)避難に必要な機能
ア 情報の収集・分析機能
 緊急対処事案等の特徴の一つとして、事案発生の初期段階では状況不明の状態が続きます。その中で対策本部は入院患者等を安全確実に、しかも迅速に避難させる避難実施要領を策定しなければなりません。そのためには、先ず危険に関する情報を収集し分析することによって、危険状況を認識する必要があります。
 その結果として、危険を回避する方策を導き出すことができると考えます。

イ 自治体(市町村等)の医療担当部署との受入病院・患者の移送手段についての総合調整機能
 入院患者等を避難させるには受入病院と移送手段を決定する必要があります。しかし、多数の入院患者等を1ヶ所の同一病院が受け入れ可能である状態は考えられません。また、一病院が多数の病院に受入調整を行うことは莫大な時間と労力を要します。
 受入病院や入院患者等の移送手段の確保については、自治体の医療部門に依頼することが効率的な手段と考えます。そのための調整機能を対策本部は持つ必要があります。

ウ 受入病院との調整機能
 受入可能病院が自治体から連絡された場合、診療科目別受入可能患者数や医療設備、医薬品の提供等について、直接の個別調整が必要であり、そのための機能が必要です。

エ 移送手段の調整機能
 自治体から入院患者等の移送手段の連絡があった場合や自らが移送手段を確保する必要がある場合には、移送の担当機関や民間事業者と移送計画についての調整を行わなければなりません。対策本部にはそのための個別調整機能を確保する必要があります。

オ 避難誘導の統制機能
 「(1)対策本部設置の基準」の項でも記述しましたが、避難の誘導をするための手順や誘導員の指名、誘導先の決定など一連の避難誘導に関する措置を統制する必要があります。また、その統制については院内に周知徹底しなければ「絵に描いた餅」になりかねません。院内への周知徹底も含めて、避難誘導の統制機能は対策本部の重要な機能です。

カ 避難者の管理機能
 避難対象者の大部分は診療を必要としている患者ですから、避難中とはいえ、診療を全く無視する訳にはいきません。また、移送中に必要とする診療を管理し、そのための医師や医薬品・資機材、避難先でも必要となる患者のカルテ等の管理も重要です。
 これらの管理・処理する機能は病院の対策本部には不可欠な機能と言えます。

(2)対策本部各班の役割
 対策本部において避難に必要な機能を確保するために、役割(活動内容)を分担した「班」編成と情報連絡の流れ図の一例を作ってみました。
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【閑話休題】
 お約束通りの「スカイツリー」のデジカメ画像です。今回から、明け方の画像です。
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