危機管理業務部 危機管理一課長
松並 栄治
東日本大震災において、大津波により甚大な被害が発生したのは記憶に新しいところです。西日本においても、南海トラフ巨大地震の発生が予期され、ハード面・ソフト面の対策がなされていますが、東日本大震災において言われた「想定外」の津波に対する対策をとっておくことが重要と思います。
東日本大震災における津波の高さについて調べてみると、津波最大高が福島県富岡町の21.1m、島における遡上最大高が宮城県女川町笠貝島の43m、海岸における遡上最大高が岩手県宮古市の40.5mとなっています。
【 東日本大震災において津波により壊滅的な被害を負った宮城県女川町の様子 】
ちなみに、1993年の「北海道南西沖地震」において、奥尻島の青苗地区などを壊滅させた大津波が最大30mということでした。
そこで、日本においてこれまでに最大の津波としてはどのようなものがあったのかを調べてみたところ、1771年に沖縄県の石垣島・西表島を襲った大津波がありました。この時の記録を見ると、石垣島の宮良川を波が朔上し、宮良村で85.4m、白保村で60m、安良村で56.4m(すべて遡上高)となっていました。250年前のため精度は定かではないですが、50mもかけ上がってくるような巨大津波が襲ったと記録されています。上には上があるものだと痛感しました。
このように見てくると、発生し得る大津波の高さと比較して、自分の生活している地域はどの位の高さなのかをしっかりとイメージしておくことは非常に重要だと感じました。これにより、想定外の大津波が発生した際に、いかにして短時間で高い所へ避難しなければならないかがイメージできるかと思います。
下図は、東日本大震災のときに発生した津波高と、ある地域の津波避難場所の高さを比較したイメージ図ですが、指定された津波避難場所に避難したとしても、その高さよりも高い大津波が東日本大震災では襲ってきたということになり、より高い所に津波避難場所を設定することが必要であることが分かります。また、先にご紹介した石垣島・西表島を襲った大津波は、それ以上の高さになるのです。
【 東日本大震災時に発生した津波高と、ある地域の津波避難場所の高さを比較したイメージ図 】
日本においては、どこでも想定外の高さの大津波が発生するかもしれない・してもおかしくないとの危機感を持ち、津波の高さと比較して、自分の生活している地域の高さがどれ位なのかをしっかりとイメージしておくことが、やはり重要なのだと思います。