危機管理業務部 主任研究員
岩澤 央夫
私は昨年度、某県の原子力防災基礎研修業務を担当することになりました。実習に使用するアルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源が資機材に記載されており、その管理、取扱いに「放射線取扱主任者」の資格を有する者が必要となり、その資格を取得するため、第3種放射線取扱主任者講習を受講することになりました。
以下、講習内容についてご紹介したいと思います。
【第3種放射線取扱主任者講習とは…】
第3種放射線取扱主任者制度は、規制緩和の一環として、平成17年6月に施行された新たな制度で、国家試験はなく、2日間の資格講習を受け、修了試験に合格すると、原子力規制委員会から放射線取扱主任者免状が交付されます。
【第3種放射線取扱主任者免状を取得したら、何ができるか?】
放射性同位元素の数量が、下限数量の1,000倍以下の密封された放射性同位元素又は同数量を装備した放射性同位元素装備機器を使用する事業所のほか、販売及び賃貸を業とする事業所においては、放射線障害の防止について監督を行わせるため、放射線取扱主任者を選任して原子力規制委員会に届け出る必要があります。第3種放射線取扱主任者免状を取得された者は、上記のいずれの事業所においても放射線取扱主任者として選任することができます。
放射性同位元素:原子番号が同じで質量数が異なる同位元素で、放射線を放出する元素をいう。
下限数量:規制対象となるような数量を言う。
【講習内容】
茨城県那珂郡東海村白方にある「いばらき量子ビーム研究センター」で講習は行われました。
第1日目
・放射線及び放射性同位元素の概論(1.5時間)
・放射線の人体に与える影響に関する課目(1.5時間)
・放射線の量の測定及びその実務に関する課目(3時間)
第2日目
・放射線障害防止法令に関する課目(2時間)
・放射線の基本的な安全管理に関する課目(2時間)
・実習レポート作成及び講評(50分)
・終了試験(1時間)
・終了式免状交付申請
合格基準は、終了試験の得点の6割以上です。
試験前にまとめ、おさらいの時間が与えられます。問題の様式は、選択問題です。
【講習で得たこと】
・基礎的知識を習得できました。
・「放射線の量の測定及び実習」において、検出器等の資器材を把握でき、担当する基礎研修の実習用資機材の調達に必要なものを理解した。特に検出器支持台や線源支持台等を作成または準備が必要と分かりました。
・線源の取扱いを理解しました。
・放射性輸送物の区分に3種類(L型、A型、B型)あり、L型輸送物の運搬は、放射性同位元素等の収容量を極小量に制限することにより、その危険性を極めて小さく抑えた輸送物であり、表面の放射線の量は微小(5μSv毎時以下)であり、人体に影響がないことが確認できました。基礎研修において実習で使用する線源の輸送は、L型輸送で研修会場に輸送することができることを確認できました。
なお、原子力基礎研修は無事に終了し、線源も無事弊社に輸送され、遮へいされた場所に管理し、月始めを基準に確認チェックします。
弊社にあるこの線源は、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(平成17年6月施行改正法令)で定める下限数量(規制対象下限値)以下の密封された放射性同位元素で、規制の対象にならないものです。
今後も、弊社の放射線取扱主任として、現在保有している線源の管理をするとともに、専門的知見の向上を目指し、原子力関連業務のアドバイザーになれるよう努力していきたいと思っております。