危機管理業務部 主任研究員
安藤 正一
令和2年も、我が国では、近年毎年のように大きな被害が出ている自然災害に見舞われる前に、我が国のみならず、世界中で「新型コロナウイルス」の感染拡大で、大変な事態になっております。このため、我が国では今年夏に予定されていた「東京オリンピック・パラリンピック」が、約1年延期されることになりました。
この「新型コロナウイルス」による「パンデミック」事態を、私たち国民は、どのような意識と行動で、対応すべきなのでしょうか。現在は、我が国にとっても、世界にとっても、一人一人の生命にかかわる緊急事態と認識しなければなりません。
< 新型コロナウイルスの顕微鏡写真(出典:国立感染症研究所ホームページ) >
我が国としては、総理大臣が陣頭指揮を執り、2月下旬には、トップダウンで学校の一斉休校を各地方自治体に要請し、そして、それ以降も専門家の意見を踏まえて、次々と各種対策を示してきていましたが、4月7日に緊急事態宣言が発出されました。
各都道府県知事や市町村長も、陣頭に立って、陽性患者の発生状況等と現行法制において実行可能な範囲で、対策を立てて、該当する地域住民に要請しており、緊急事態宣言が発出された現在、法的権限で要請・指示等が出せる状況になっております。
このように国家及び各地方自治体の長の積極的な陣頭指揮と、私たちの多くが要請に従う姿勢と行動とにより、我が国の感染者の拡大数は、世界各国に比して、やや穏かな拡大の状況となっておりましたが、ここ数週間で感染者数が急増しております。
ここで、銘記すべきことは、国家及び各地方自治体の長のもっとも重要な職務は、「国民や当該地域住民の生命・身体及び財産を守ること」ということです。
しかしながら、この「新型コロナウイルス」のように発生から当分の間、感染症としての正体がやや不明であったこともあり、国民や住民の生命の安全を守るというリスクマネージメントの観点のみからすれば、前向きな水際対策などの果断な対策を執ることが、やや遅れたのではないかとの意見もありますが、緊急事態宣言が発出された現在において読者の皆さんに、お願いしたいことは、この緊急事態に対して、専門家が言っているように、正しく恐れ、決して、油断することなく行政が要請している、国民が控えるべき行動について、一人一人が自分のこととして、実行することが極めて大切であると理解して、我が国が、そして世界各国が、一刻も早く終息宣言が出せるように、一人一人が自分の行動を律しようではありませんか。
そして、日本人全員が、健康上、経済上の危機を乗り越え、この感染症に打ち勝った証しとして「東京オリンピック・パラリンピック」を、来年夏に開催できるようにしようではありませんか。