危機管理業務部 危機管理二課長
松田 拓也
国民保護措置を自治体職員に理解させるためには、国民保護研修会を企画すると良いでしょう。
様々な自治体で研修を行ってきましたが、国民保護研修は講義と実習(検討会)の2段階で構成すると、より理解が深まりやすいと感じています。
1 講 義
国民保護措置に係る法令や自治体が作成している国民保護計画等について理解を図るため、自治体の国民保護担当者もしくは専門家を招いて30〜60分程度の講義を実施します。
講義内容は前回の記事で紹介したような国民保護特有の対処の流れについて、防災との差異が明確になるよう講義をすると理解が深まります。
講義の導入として地下鉄サリン事件やボストンマラソン爆破テロ事件などの事例を例示し、参加者に被害の様相を具体的にイメージさせることで教育効果の向上を図ります。
テロ事件の画像や映像を使用するとより効果的です。また、国民保護サイレンの音や過去の国民保護訓練映像などは内閣官房の国民保護ポータルサイト上に載っていますので、適宜活用してみてはいかがでしょうか。
2 自治体職員対象図上検討会
庁内の部局を対象にした図上検討会を行い、訓練参加者に自らの部署の役割を認識してもらいます。
参加者は各部署の代表者1〜3名程度、検討会は1.5時間〜3時間程度で行います。
まずは事前準備として企画側で初動対応の場面、住民避難の場面、救援の場面など複数の場面を設定しておきます。
検討会においては、まず企画側が設定した場面の状況を説明します。その後、訓練参加者はその場面における自らの部署の対応を検討・整理します。その後、司会の進行により、各部署が行う対応や調整要領の発表を行い、訓練参加者間で意見交換を行います。
より検討内容を充実させるため、図上検討会2週間程度前に、訓練参加者に場面を提示して事前検討してもらい、検討会時には発表だけを行うようにしても良いでしょう。
また、短時間で検討させ、議論を収束させるため、あらかじめワークシートを作成して提示するなどの工夫も必要です。
図上検討会には、ファーストレスポンダーとなる防災関係機関等に参加をしてもらい、実際にはどのように対応するといったコメントを頂けると、より臨場感のある検討会になります。
最近では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、研修会を開催することが難しいというお客様のご意見もあり、当社では、Web会議システムを利用したオンラインでの講義なども行っています。
オンラインでの講義では、場所を選ばないため、より多くの職員にご参加いただけるとの意見もあります。
当社では、国民保護法成立以来、様々な形式での国民保護研修や訓練を企画・実施してきた実績を有しております。お客様のご要望に沿った提案をしてまいりますので、お気軽にお問い合わせください。
次回は、防災関係機関等との組織間での役割の確認などを目的とした研修会の企画について紹介します。