危機管理業務部 危機管理一課長
 松並 栄治


 東北の太平洋側の住民は、2011年3月11日の14時46分頃までは、ここのところ長い間、巨大地震が発生してないからこのまま海岸で生活していても大丈夫だろうと思っていました。そう思っていたところに約1000年間隔で起きる途方もない地震が再来しました。東日本大震災の発生で、日常感覚よりはるかに長い間隔で繰り返す自然災害の恐ろしさを知りました。
 似たような事態がより大きな間隔で人類に襲いかかる可能性があるのが太陽で起きるフレアという爆発現象です。
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 太陽フレアも地震と同様、小さなものは頻繁に起こり、大きくなるほど繰り返しの頻度は長くなります。これまで知られている最大のフレアは約150年前の1959年に起きたもので,爆発エネルギーは水素爆弾10億個に相当すると言われ、もし同規模のフレアが発生すれば人工衛星は全滅、世界で通信障害が起き、各国で大停電が数カ月間以上続く恐れがあり、人類文明は危機に瀕することになります。
 太陽は我々にとって危険な放射線であるX線を大量に放出しています。幸い我々は地球の厚い大気で守られているので、太陽のX線を被ばくすることはありません。
 しかし宇宙飛行士は大気の外にいるので、常にX線被ばくの恐れがあります。
 フレアが起こると強いX線が放射されるだけでなく、大量の放射線粒子や高速プラズマ流が噴出します。これらが地球に到達すると、人工衛星が故障したり、磁気圏が影響を受けて磁気嵐が起こり、地上で停電や通信障害が起きたりします。
 磁気嵐が起きると、アラスカや北欧の夜空には、美しいオーロラが発生します。このとき、オーロラが光る超高層大気中には大電流が流れ、これが地上の電線に大電流を引き起こし、変電所の変圧器をこわしたりします。そのために電気が送れなくなって町全体が停電になったりするのです。
 1989年3月に起きた大フレアにともなう磁気嵐は巨大なもので、カナダで大停電を引き起こしました。このとき600万人が長時間、電気が使えない状態になったといいます。
 現在太陽で観測されている最大級のフレアの10倍以上のエネルギーを放出する超巨大フレアのことをスーパーフレアといいます。そんなスーパーフレアが、太陽で起きる可能性はあるのでしょうか?
 太陽系外の太陽型星のデータを詳しく調べた結果として、スーパーフレアの発生頻度の統計は太陽フレアの統計と良く似ており、最大級の太陽フレアの100倍〜1000倍のスーパーフレアは、800年〜5000年に一回の頻度で発生するそうです。
 この頻度は、東日本大震災の約1000年に1回の頻度と同程度ということになります。
 全地球の電力インフラや通信網が破壊され、電気や通信が使えない状態が数か月、いや1年も続いたら、どんなに大変な事態になるでしょうか?
 日本はオーロラが見えない国なので、フレアや磁気嵐による被害がこれまで、ほとんどありませんでした。そのため、欧米に比べると太陽フレアに対する対策が全く遅れています。
 東日本大震災や南海トラフ巨大地震のような大地震と同様、太陽フレアの大発生が、想定外の大災害とならないよう、対策・対応の準備を進めていくことが必要だと思われます。