危機管理業務部 主任研究員
 三宅 丈也


 平成31年4月で入社して早いもので3年が過ぎました。長いようでしたが、今思えば短い期間でした。現在、主に担当しているのは、原子力防災に関する自治体の図上訓練、実動訓練やワークショップなどの支援をさせて戴いており、私自身にとっても大変勉強になっています。入社以前の自衛官時代は雲仙普賢岳噴火の災害派遣から始まって、災害現場での活動や本部等のスタッフとして5回の災害派遣を経験しました。また平素の業務では、主に災害派遣等正面のスタッフの一員として数回、数年間にわたって勤務し、この間担当エリア内における地震は勿論、山林火災、津波対処など大小数多くの実災害に対応した経験を活かすことができる会社に再就職し、引き続き一社員として「防災」関連業務に就くことができたのは幸いでした。
 「いつ」、「どこで」、「誰が」、「どの様な」災害に遭遇するか分からない時代に私たちは生きています。だからこそ、過去の各種災害の記憶や経験等を活かして、日頃から各種計画等を整備するとともに、災害を「疑似体験」できる「防災訓練」などによって災害への初動対応のチェック等を行っています。つまり、防災計画やマニュアル等の整備という「備え」を平素からしっかり準備した上、「訓練」によって「備え」が妥当かつ実効性はあるのか、漏れや重複はないかなどを評価・検証して、改善すべきがあれば改善する、この繰り返し【PDCAサイクル=Plan(計画)→Do(訓練)→Check(評価)→Action(計画修正)】こそが、いざ災害時に被害を最小限に留める(減災)ことに繋がるのです。弊社の経営理念は、「人々の生命、身体及び財産を災害から守る」という「防災の目的」そのものであり、これを弊社の基本使命として防災体制の整備を総合的に支援して地域社会に貢献するというものであり、社員として生き甲斐を感じています。

 ところで、いざ大規模な災害が発生した場合、警察・消防のほか、自衛隊に対して災害派遣が命ぜられますが、数々の災害派遣を通じて自衛隊に対する国民の見方も大きく変化してきました。
 平成の御代、私たちは阪神淡路大震災と東日本大震災という2回の大規模な震災に遭遇することになり、自衛隊は大規模な災害派遣を長期間にわたって実施し、国民から絶大なる信頼を得ることになりました。しかしながら、この派遣間も「国の防衛」に穴をあけるわけにはいきません。ですから東日本大震災においては、自衛官だけではなく初めて「予備自衛官等」の災害派遣が実現しました。
 平成13年6月8日、自衛隊法改正により予備自衛官等に災害派遣の任務が新たに付与され、約10年後の東日本大震災における初の予備自衛官災害招集から7回にわたって災害招集が発令されました。
 「予備自衛官等」制度には、「予備自衛官」と「即応予備自衛官」のほかに「予備自衛官補」を加えた3つがあります。
 「予備自衛官」は、元自衛官又は予備自衛官補から任用(採用)され、第一線部隊が出動した時に、駐屯地の警備や後方支援等の任務に就くものとされ、招集には訓練招集のほか防衛招集、国民保護等招集、災害招集があります。
 この「予備自衛官」の災害派遣の実績は下記のとおりです。
 (以下の実績は「防衛省ホームページ」等から要約)

東日本大震災災害招集(平成23年3月)
 活動実績は、陸海空、予備自衛官及び即応予備自衛官の総計1648名で、活動期間等は3月23日から6月22日の約3か月間でした。
 予備自衛官は、陸海空296名が招集され、主要活動内容は、衛生支援(自衛官候補生の採用身体検査等)、通訳支援、業務隊増強(警衛含む。)などでした。

台風19号災害招集(令和元年10月)
 活動実績は、予備自衛官及び即応予備自衛官の総計421名で、活動期間等は10月18日から11月9日まで、主要活動内容は、生活支援(給水等)、道路の啓開、災害廃棄物の処理、司令部幕僚支援などでした。
 予備自衛官は、女性17名を含む52名でした。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に係る災害招集(令和2年2月)
 活動実績は、予備自衛官(技能公募)10名(医師、看護師、准看護師、語学(英語)で、活動期間等は2月14日から3月11日まで、主要活動内容は、医療・衛生支援、通訳などでした。

令和2年7月豪雨災害招集(令和2年7月)
 活動実績は、予備自衛官及び即応予備自衛官の総計(最大)500名で、活動期間等は7月9日から7月23日まで、主要活動内容は、災害廃棄物の除去、救援物資の輸送、巡回診療支援などで、予備自衛官は、最大100名でした。
予備自衛官3

        ‥貽本大震災災害招集         の疣贈嫁7月豪雨災害招集

 「予備自衛官等」の災害派遣は、これまで即応予備自衛官の活躍が目立つ一方、「予備自衛官」の災害派遣の実績は東日本大震災以降4回を数えます。今後予想される首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模な災害の発生に際しては、即応予備自衛官だけではなく「予備自衛官」に対しても災害招集が命ぜられるものと考えています。
 私事で恐縮ですが、私も「予備自衛官」に採用されて2年余が経過しました。
 災害が起きていない平素においては、一社員として自治体の訓練等の支援業務に携わり、防災」や「減災」に少しでも寄与して参りたいと考えています。
 そして、一旦大規模な災害等が起きて災害招集が掛かった場合は予備自衛官から自衛官(応招後)になって災害派遣の「現場」において与えられた任務を完遂することが出来るように、日頃から心しておきたいと考えています。
 なお、弊社には他にも数名の予備自衛官が在籍しており、毎年、5日間の招集訓練に応じて「その日」に備えていることを付言します。