危機管理業務部 主任研究員
 坂上 栄一

 いつの時代も災害が発生すると、必ず流言・飛語が発生し、ゆっくりと時にはあっという間に庶民に伝わっていきます。この流言・飛語は、最悪の状況では、殺人事件へと発展していきます。歴史をみると、悲劇的な事件を見ることがあります。
 また、「流言は知者に止まる」という言葉があります。愚かな人々は、根も葉もないうわさ話を次から次へと広めていくが、賢明な人は、そういうことに興味を示さないから、風評もそこでとどまってしまうことをいう。
 私もそうですが、なかなか、賢明な人とはなり難しです。情報が多く、またメディアの言葉にほんろうされ、その真意を見極めるのも難しい世の中であるかもしれません。
 流言も人の心に潜む何かがそう信じさせるのでしょう。
内緒話
『見逃すな、うわさの真実は、心の中に』
 最初に、流言・飛語の最近の事例と最悪な結果となった過去の事例について紹介します。考えてみてください。

(流言・飛語の紹介) 
1 平成の「3.11」デマ情報
 (射線対策にイソジン・ワカメがよい。
 被爆した作業員2名は、東大病院で死亡し、私もその治療にあたりました。
 ヒマワリが放射能汚染を除去する。
2 令和の「コロナウィルス」デマ情報
 _嶽彰笋覆匹寮弌▲Εルスの分解に即効性がある。(フリーマケット)
 ▲灰蹈淵Εルスは、熱に弱く、26〜27度のお湯を飲むと殺菌効果がある。(SNS)
 新型コロナウィルスの影響でトイレットペーパーが不足する。(SNS)

(無責任な噂の罪深さ)
 1877年(明治10年)、千葉コレラ事件では、沼野玄昌医師が、漁民らに撲殺されました。当時、コレラが流行し、井戸水が原因として沼野医師が消毒液による井戸水の消毒をしました。しかし、「井戸に投げ込んだ消毒液は、毒だ」「消毒するといって肝をとっている」との無責任な噂がはやり、このような悲劇が起こりました。

 このような流言等はどうして起こるのでしょうか。その広がる条件とは、何でしょうか?

(流言が発生し、広がる条件とは)
1 重要であること
  命や財産にかかわる重要なことであるほど、流言は発生しやすくなります。
2 あいまいであること
  はっきり分かっていることは流言が起きにくい。
  しかい、良く分からない事には、流言は発生しやすくなります。
3 不安であること
  人々の不安が高いほど、流言は発生し、広がっていきます。
  流言が広がるにはいくつかの人間心理がからんでいると言われています。

(流言の広がる人間心理とは)
1 情報欲求の高まり
  人々は、災害の中で、危険を避け、役に立つ情報をほしがります。
  情報欲求が高まると、正確な情報の収集にとどまらず、不正確な情報である流言を広めてしまう結果を
  生んでしまいます。
2 伝達欲求の高まり
  人は、自分が知った新情報を人に伝えたいと思い、流言を広めます。
  また、人は不安を共有したいと思います。おしゃべりは、ストレス解消になります。
  また、伝達欲求による行為が、流言を広めます。 
3 不安感情の正当化
  大災害が発生すると、人々は不安に襲われます。
  自分の「不安」を、不安がっていても良いのだと人は思いたいのです。
  そこで、自分が不安がっても当然だと思えるような、不安になる話(流言)を広めてしまうことがあります。 
4 興奮状態によるチェック不足
  災害発生時、人々は普段よりも冷静さを失い、一緒の興奮状態になります。
  普段なら、疑ったり、真偽をチェックできたりするのに、その心の余裕がないまま、
  聞いた話をすぐに人に伝えてしまうために、流言が広まります。

 人間心理というとだれもが陥りやすいものです。一人で考えるとなおさらです。不安と思わないためにも、一人ではない、仕組みを作ることです。それでは、流言・飛語を防止するためにはどうしたらよいでしょうか?
フェイクニュース
(流言を防止するために)
1 各自治体等が、災害発生後できるだけ早く、防災無線等で、正しい情報を発信し続けること。
  また、情報の真偽の確かめ方を明示すること。
2 人々が集まる避難所では、心が安らぐような、明るく、前向きな、癒しの情報を伝える。
  感動的な救出劇や、進んでいる復興作業などの情報で、不安を下げることで、
  流言の発生を抑えます。
3 普段から正しい防災情報を学んでおくことです。
  各自治体で行っている防災講座、避難所訓練等に積極的に参加することです。

 読者の皆様がもし災害に遭遇し、避難所に避難しようとする時、避難した時、いくつかの流言・飛語が飛び交うと予想されますが、どうか冷静に聞く耳を持ってください。

 『デマ情報、止めるのはあなた、皆に安心と希望を』