危機管理業務部 主任研究員
 坂上 栄一

 今回は、災害時に使われる似たようなことばについて紹介します。
 昔を思い出し「給水と吸水」、防災訓練(図上訓練)時に消防担当者から発せられた「鎮圧と鎮火」、今コロナ禍での「非常事態宣言と緊急事態宣言」、避難所訓練をして気がついた「避難所と避難場所」の4種類について紹介します。

【給水と吸水】
 自衛隊時代、とある災害派遣出動前の準備段階での出来事です。
 「A河川が増水し、氾濫の危険性あり」との一報を入電し、「きゅうすい」支援のための資材等の準備にとりかかりました。
 通常、「給水」支援のため、生活用水道の使用ができなくなるとの予測のもと、1t水トレーラーと大型車を準備されたし。
 しかし、実際は、川から溢れる水を「吸水」するための支援であり、急遽各部隊の吸水ポンプを集めるようになりました。経験不足による思い込みは、間違った判断に陥ってしまいます。

【鎮火と鎮圧】
 災害時に発生する火災の現場において、現場指揮官の判断として発せられることばに鎮火と鎮圧ということばを聞くことがあります。災害訓練時、消防関係者からもこのような言葉を聞きます。

(消防用語の解説によると)
鎮圧:消火活動により火災の勢いを弱くした状態
鎮火:火災が消火され、消防隊による消火活動が必要となくなった状態
鎮圧→鎮火という流れになります。


 火の勢いを消防隊がコントロールしている状態でそれ以上火災の拡大(延焼拡大)がないと判断されたときに「鎮圧」とされ、現場指揮官の判断によって認定されます。
 一方、「鎮火」となった場合は再燃の恐れがないと現場指揮官に認定され、消火活動の終了を意味するというのが実情のようです。
 この2つの言葉は、消防の間でよく聞かれる言葉です。時たま、テレビの報道で流されることがあります。鎮圧は、まだ、火がくすぶっている状態ですので注意してください。
 「鎮火ではじめて、消火完了。鎮圧はまだ、未完了。」

【非常事態宣言と緊急事態宣言】
 非常事態宣言または緊急事態宣言とは、自然災害、感染症(伝染病・疫病)のパンデミック、原子力事故などの災害や、戦争、テロ、内乱・騒乱など、健康・生命・財産・環境などに危険が差し迫っている有事(緊急事態)に際し、国家・地域の政府(地方公共団体を含む)などが、法令などに基づいて特殊な権限を発動するために、或いは、広く一般・公衆に注意を促すために、そのような事態を布告・宣言することです。

“鷯鏤態とは、通常のときとは違い、危機のある状態
 世界においては非常事態宣言が普通で、例えば「外出したら罰金」ということなのです。日本にはそういうものがありません。私権制限の範囲が全く違うということです。
 例文:大阪府は7日午後、「医療非常事態宣言」を発出した。
緊急事態とは、すぐに対応する必要がある状態
 例文:緊急事態だと言うのに、社長はどこに行ったのか。

 日本では一般的に、緊急事態という表現が普通のようです。世界においては私権制限をともない非常事態宣言とし、日本では基本的人権として国民の自由な活動を保証するという前提の元、緊急事態宣言と言わざるを得ないのかもしれません。

【避難所と避難場所】
 一つは、避難場所です。避難場所は、地震などによる火災が発生し、地域全体が危険になったときに避難する場所で、火災がおさまるまで一時的に待つ場所です。ここでは、基本的には食料や水の備えはありません。具体的には、大規模な公園や緑地、大学などが指定されています。
 もう一つは避難所です。避難所は、地震などにより家屋の倒壊や焼失などで被害を受けた方、または現に被害を受ける恐れがある方が、一定の期間避難生活をする場所です。ここでは、飲料水やトイレなどを備えています。具体的には、小中学校や公民館などの公共施設が指定されています。 その他に、区市町村によっては近隣の人が一時的に集合する場所である一時(いっとき)集合場所や、自宅や避難所での生活が困難で、介護などを必要とする方を一時的に受け入れる二次避難所などもあります。
 各町内会等毎、決められた地域において、これらの避難所等が指定されているのが通常です。
 しかし、決められた地域に避難所が指定されていない自治体もあり、東京都の練馬区があげられます。避難所とは言わず「避難拠点」といっています。
 「避難しやすい最寄りの小・中学校へ避難してください」と自治体の防災手引きに記されています。
 避難所を居住地毎(町内会等)に指定すると、すぐそこに避難所があるのに離れた避難所に避難しなくてはならない人がでてきます。また、自治体と自治体の境界付近にいる人にとっては更に深刻な状況となります。そのため、自治体相互に協定を結んでいるところもあります。
 この2つの避難所等のマークは次のとおりです。散歩、ジョギング等で目にしたら一度確認してください。避難所か避難場所かを!!
避難場所・避難所ロゴ
 私の住んでいる場所で次のような標識がありました。どう理解したらよいのでしょうか?
避難所看板画像