危機管理業務部 危機管理二課長
 松田 拓也


 国民保護に関する研修の方法として、各部局職員の能力向上を対象とした手法及び関係機関との役割を確認するための手法について紹介しました。
 今回は市町村長及び各部局長クラスを対象とした研修の手法について紹介します。

 この手法は、講義形式を発展させた手法で、本部会議を模擬し各部局長等に発言をしてもらいながら、その発話内容について解説を行います。
 この研修は、国民保護計画を修正した年度や、体制整備、図上・実動訓練の前年度などのタイミングで行うことで、市町村における国民保護措置への備えを市町村長及び各部局長クラスに再認識してもらう良い機会とすることができます。
国民保護訓練の企画(4)国民保護研修の手法_図1

 訓練会場は、右図のような本部会議室を使用します。
 状況をイメージアップさせるため画像やスライドを用いるため、プロジェクターとスクリーン及びパソコンを準備します。
国民保護訓練の企画(4)国民保護研修の手法_図2
 研修は、まず発生する事案を説明します。
 「商業施設○○で爆発」などとし、現地の映像や効果音、模擬ニュースなどを使用して状況を説明します。
 これを受け、フェーズ1として「事案発生から対策本部設置」を模擬します。
 危機管理担当部局長から市町村長に対し、事案発生の報告及び対策本部設置の具申を行います。市町村長は本部設置を指示するとともに対応方針を指示します。この際、発話内容はあらかじめ準備するため、発話者は台本に沿って発話をします。
 一連の発話が終わったら、事務局から発話内容の解説を行います。場面1では地域防災計画に基づく本部設置基準や、体制について解説すると良いでしょう。

 フェーズ2は「被害状況判明後の各部の対応」として、状況の説明を行い、引き続き台本に沿って各部局から対応状況や要調整事項について発話します。事務局からは現地調整所や各種協定、関係機関との役割区分などについて解説します。

 フェーズ3は「政府による事態認定と法定通知」とし、同様に発話を行った後、事務局から国民保護法と災害対策基本法との比較、警報、避難措置の指示、救援の指示等について解説します。

 その後、「避難実施要領検討」「救援の実施」など複数フェーズを設定し、同様に進行していきます。

 研修を通して、市町村長や各部局長に有事における自組織の役割の理解を促すとともに、平素における体制整備の重要性を理解いただければ成功といえるでしょう。

 また、研修の準備段階では、シナリオや発話集を作る必要があるため、国民保護担当部署にとっても、市町村における国民保護の流れを整理し、各部局・関係機関に調整する良い機会となります。これもまた副次的な訓練効果の一つです。

 訓練時間は2時間程度ですので、部局長等の出席を企図する場合は、国民保護協議会等の会合後に訓練を企画するのもおすすめです。

 当社では、国民保護法成立以来、様々な形式での国民保護研修や訓練を企画・実施してきた実績を有しております。お客様のご要望に沿った提案をしてまいりますので、お気軽にお問い合わせください。