危機管理業務部 主任研究員
 坂上 栄一


 先日、孫の映像がLINEで飛び込んできました。2歳の女の子、また、おちゃめな映像と楽しみに開いてみると、そこには何やら虫らしきものを「おいしい、おいしい」と言いながら一匹ずつ、つまみながら口へ運んでいる映像でした。よくよく画面をみると「コウロギ」を食べていることが分かりました。袋から取り出しているので、当然、食用として一般に売っているものと確信しました。
 数日後、テレビのとある番組で、現在の世界情勢から将来、肥料不足による食糧危機が訪れ、特に「豚・牛肉」については7〜10日に一回位しか食べることが出来ない、そんな時代が来るかもしれない。そこで今注目されているのが「コウロギ」などの昆虫食であり、栄養価も高く、少ない肥料で生育が可能であるからである。孫は将来を見据えて「コウロギ」食に慣れるべく、食しているのだと頭が下がる思いでした。昆虫食について調べてみましたので紹介します。
 昆虫食が注目された2013年
 2013年、国際連合食料農業機関(FAO)が発表した報告書『食用昆虫:食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望』を契機に家畜に代わる新しい動物性たんぱく源として、昆虫の食用利用が注目されてきました。環境負荷が小さく、効率よくタンパク質を生み出せる昆虫は、食糧危機のリスクを低減できるからです。何よりも水や飼料の必要量が少ないことです。
 健康な生活を送るためのタンパク質
 タンパク質は炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、筋肉や骨、皮膚などをつくる役割もしており健康な生活を送るために必要不可欠なものです。従来はそのタンパク源を肉や魚でとっていましたが、コスト上昇や奪い合いの激化等も予想され、安定確保は難しい、そんな時代が迫ってきています。その代替えとして昆虫が注目されてきました。
 メリット
 ア 飼育交換率
   飼育交換率とは1kgの収穫を得るために何kgの飼料が必要になるのかを示す数値で、この数値が高いほど少ない飼料で収穫を得ることができます。
坂上_7-画像01

 イ 環境負荷が少ない(環境にやさしい)
   家畜が飼料を食べると、それらを消化する過程でメタンガスを発生します。このメタンガスには、二酸化炭素の28倍の温室効果があります。昆虫を養殖すると発生するメタンガスは家畜の約100分の1程度であり、温室効果ガスの削減が期待できます。温室効果ガス排出量の18%は畜産と言われています。
 ウ 世代交代が早い
   食肉である牛は2年4か月で約288kg分を出荷できます。これに対しコオロギは2年4か月で約484kg分を出荷できます。(牛の出荷時の年齢を基準に積算、コオロギ32日後毎日6,000匹、1匹0.1kg)
  エ 栄養価が高い
    昆虫の多くが不飽和脂肪酸とタンパク質を豊富に含み、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富です。
 デメリット
 ア 食欲をそそられない
   私たち人間はこれまでに口にしたことがない食材を警戒する「食物新奇性恐怖」という習性があります。また、先進国では昆虫は「駆除の対象」であり到底食べられる物ではないと思われています。「気持ち悪い」「美味しいわけがない」とあまり良いイメージを持たれません。
 イ 美味しさが鮮度に依存する
   不飽和脂肪酸を豊富に含む昆虫は魚介類と同じで酸化が進みやすい(傷みやすい)ため長期の塾成には向きません。
 現在、日本では
 日本では2010年代後半以降、食用昆虫の養殖事業への参入が相次いでいます。2022年1月現在、食用コオロギの養殖に少なくとも26社が参入、もしくは参入予定となっています。昆虫食の一例は次のとおりです。下図の右は上野アメ横にある昆虫食缶詰の自販機です。
坂上_7-画像02

 近い未来の昆虫食に
 こどもの好き嫌い、小さい時からが肝心です。私の孫の様に、「おいしい、おいしい」と食べるよう各ご家庭全員で食べてみてはいかがでしょうか。実はこの時、お父さんも「おいしいね」と言って食べていました。将来、非常食に昆虫食が加わる時代が来るかもしれませんね。