危機管理業務部 主任研究員
 三宅 丈也


 防災について、特にお住まいの地域の防災について、皆さんはとても関心をお持ちの事と思います。そして最新のハザードマップを備えたり、非常持ち出し袋を準備するなどなさっていることでしょう。また自主防災組織に所属したり、自治体の声掛けによる防災研修や防災訓練などに参加している方も多いと思います。しかしながら、それでも何故か、漠然とした危機感・不安感といったものが残っているかもしれません。そういう場合、どうすれば良いのでしょうか。このモヤモヤ感を解消するための一つの道標は、先ずはお住まいの地域の先人の教えについて知ることです。

 過去の先人の教えシリーズなどでも断片的に紹介して参りましたので、以下、関係部分を抜粋してみます。

 一つは、「先人の教え 自然災害と地名(2019.3.11)」において、『・・・東日本大震災の後、関東地方でも「液状化」問題が話題となりました。このため自分たちが住んでいる地域の地盤について関心注目が集まって、地域の古地図を調べるなどの動きが出てきました。・・・各市町村はハザードマップを作成・配布して地域住民にその地域の様々な自然災害の危険を注意喚起してくれますが、その上に自分たちの住む地域、出来ればやや拡げた範囲について「先人の教え」でもある古い地名(古い地名から新しい地名に変更している場合が多々あるため)を調査して知っておくことは危機管理上さらに有効でしょう。ご家族で、近所を歩いて古い神社仏閣を探してその由緒などを調べてまわるとか、図書館で地域に関わる古文書を紐解くとか、土地の古老に話を聴いてみるとかしますと、意外と地域の「古い地名」が得られるかもしれません。古い「地名」を知るとともにハザードマップを活用することによって、地域の自然災害の危険を予知することができ対応策を考えることもできます。・・・』

三宅23_画像1 また、「ハザードマップをDIYしよう(2021.7.12)」では、『・・・古くからある地名や言い伝え、昔の忘れ去られた災害の記憶などの全てをハザードマップが含んで反映しているとまではいえません。こういった事はご自身が足を使って、古老の話を聴いたり、古い神社仏閣の由緒書きや石碑を尋ねたり、あるいは図書館等で郷土史を紐解いたりすれば、大きなヒントが得られるかもしれません。先述した広島市の山崩れの例をみるまでもなく、作られたハザードマップに頼り切るのではなく、古い地名を調べてみたりしてはいかがでしょうか。・・・そして、「DIYしたハザードマップ」に自宅や近くの高台などの標高や避難場所と避難経路を複数書き込んでおくと更に良いでしょう。また、避難時携行品の準備や定位置、そして家族離散時の連絡方法や集合場所等の話し合いなどを日頃からしておけばDIYしたハザードマップと相まって、いざ災害時の「安心」「安全」度が飛躍的にアップすることでしょう。・・・』

 さらに、「先人の教え【番外編】 液状化現象は昔からあった!?(2021.8.23)」では、『・・・先人は自らが体験又は見聞した災害等について絵や書にするとともに教訓まで私たち子孫のために詳細に遺してくれており、誠にありがたいことです。
 この様に、古くからある地名や言い伝えなど昔の忘れ去られた災害の記憶などを紐解くとともに、現代のハザードマップと合わせて身近な危険を平素から把握しておくことが重要となります。今、お住いの場所について「もともと古い丘陵地だったのか?」、「谷や池、沼は無かったか?」、「切土(きりど)なのか盛土(もりど)なのか?」、そして「過去に『液状化現象』は起きていないか?」などについて、一度チェックしてみるのも良いかもしれませんね。』

三宅23_画像2 以上、重複を厭わず紹介しましたが、先ずはお住まいの地域の先人の教えを知るということが肝要です。すなわち、この「先人の教え」とは、古い地名や古地図、伝承・言い伝え、古い神社・仏閣の由緒や石碑、郷土史・古文書、および土地の古老の話など、古くて忘れ去られし易い災害の記憶ともいえます。
 これら地域の先人の教え(古い忘れ去られ易い災害の記憶)を自らの脚を使って拾い集め、更にまち歩き的に周辺を巡って今現在の災害上のリスクを見つめ直して、新旧併せて既存のハザードマップに付け加えて自分なりのハザードマップに仕上げ直していきます。そうすれば、身近な地域の自然災害の危険をイメージアップ、予知することができ対応策も事前に取れる(防災)ことになり、いざ災害発生時には「安心」「安全」度が飛躍的にアップ(減災)するなど、これまで漠然とあった危機感・不安感も随分と解消されることでしょう。

 自然災害というものは、多くの場合、突発的に発生しますが、慌てず落ち着いて、柔軟に自助・共助・公助を念頭に、その時に最善と思われる対応をしていくことが大切です。
 そして災害が起きる前には、物の準備をしっかり整え、地域で起こりそうな災害等をすべて把握(ハザードマップ+α(先人の教え、まち歩き))し、対応のための計画・マニュアル等(避難場所・経路の把握など)を確認し、それに基づく研修や防災訓練に参加(備え)すれば、いざというとき、早期避難などによって被る被害を格段に小さくすることへ繋げられます(減災)。
 まさに「備えあれば憂いなし」です。
  |楼茲ハザードマップ(出来れば災害ごと)の把握と避難場所・経路の再確認
 ◆|楼茲慮鼎忘れ去られがちの災害の記憶(先人の教え)を紐解いて把握
  地域でどの様な災害があるのか、危険がありそうか等、まち歩き的に実地観察
 ぁ´ 銑を併せて、自分なりのハザードマップを創り上げる
 ァ非常持ち出しの準備・更新、室内の耐震化、増水時の準備(土嚢等)など
 Α)漂劼亡悗垢研修、訓練などへの積極的な参加、成果の地域への発信等

 これらを実践していけば、漠然と持っている危機感や不安感は大きく解消できるかもしれません。お試しいただければと思います。