危機管理業務部 主任研究員
 大崎 達也


 防災訓練をはじめ、防災に関する講習やイベントで必ず取り上げられるのが、いざという時のための普段からの備蓄の重要性です。水、食料等について、一人当たりの一日分の必要量に必要日数をかけて、家庭で備え付けるというもので、災害対策としての物の準備の代表格として、かなり各家庭に浸透していると思います。一方で、普段からの物の準備であることに変わりがないものの、あまり周知されていないと感じるものに「自家用車の満タン処置」があります。(都市部で生活し、自家用車を保有していない家庭には当てはまりませんが)

1 自家用車をこまめに満タンにできるか
  突然の災害が発生した時、まずは「自分の命は自分で守る」ために行動し、次いで、大規模なインフラ被害の影響を受ける中で、生活の維持や再建にあたることとなります。その際に、欠かせないのが自家用車です。普段から通勤、買物等の生活の大半で自家用車を使用している家庭は、必要性を痛感するものと思います。ただし、突発的な災害に備えて燃料満タンを心掛けているか問われると、「そこまでは」という家庭が大半ではないでしょうか。例えばドライブから帰宅した際に燃料計が半分程度の残量を示していたとしても、「来週、近郊のショッピングモールでの買物と子供の駅への送迎を済ませたら、まとめて給油する」といったような効率性重視のプランが頭をよぎるかもしれません(特売日などもありますし)。自衛の手段としての満タン処置も、こまめに実施するとなると手間がかかるので、つい自分に言い訳をしてしまうのではないでしょうか。
  しかし、突然の大災害が発生すると燃料補給が思うようにできないのは、過去の事例が物語っていますし、実際に不自由な状況に直面した経験をお持ちの方も多いと思います。
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東日本大震災時における燃料運搬支援(陸上自衛隊HP)


2 「満タン習慣」
  こまめに満タンにすることは、言うは易く行うは難しで、心がけ程度ではなかなか実行に移すことができません。そこで、何か自身のルール作りにより習慣化することを提案します。一例として、帰宅時に’確膳廚琉賁楡晃困辰伸∩芦麕タン時から100キロメートル走行したA芦麕タン時から3回乗った という状況であれば満タンGoとするなどと決めておくことにより、習慣化(単純ルール化)するというものです。
 機械的に条件を整えれば、給油という手間がかかることに関して迷いが無くなるかもしれません。それぞれの給油環境や車の燃費等により、ルールを考えてみてほしいと思います。
  
3 雪国等ではより現実的な問題も
  雪国では、大雪に伴う交通障害等により、数時間〜数日間の立ち往生もあり得るので、より現実的な問題として、冬の期間は出発時満タン、こまめ給油が常識となっています。
  また、原子力発電所近傍の原子力災害対策重点区域では、自家用車による広域避難が対策の重点事項となっていることから、常日頃からの満タン処置が身近なものになっています。
  ちょっとした配慮により、突発な災害発生時においても、慌てることなく様々な用途で自家用車を活用できますので、水や食料の備蓄とともに、「満タン習慣」に心がけてみてはいかがでしょうか。