危機管理業務部 主任研究員
 丹羽 浩之


1 防災基本計画の改正
  毎年4月末〜5月末頃に中央防災会議が開催され、防災基本計画の改正と当該年度の総合防災訓練大綱の決定が行われます。令年度の中央防災会議は、5月30日に開催されています。
  そこで、防災基本計画が改正されているのですが、私が、今年度の改正で注目している改正点は、「災害中間支援組織」に関し、「都道府県は、災害発生時における官民連携体制の強化を図るため、都道府県域において活動を行う「災害中間支援組織」の育成に努めるものとする。」という内容が、新たに追加記述されていることです。

「内閣府防災情報のページ」ヘのリンク

2 「災害中間支援組織」とは
  災害発生時に被災地では、災害ボランティア活動の活動支援や活動調整に協力していただける複数の団体が協力し合って「災害中間支援組織」構築していきます。
  「災害中間支援組織」が担当する具体的な役割は、市町村及び市町村社会福祉協議会が運営する市町村災害ボランティアセンターの運営の助言や運営要員の負担などの協力です。といいますのは、災害ボランティアに対応する市町村災害ボランティアセンターの運営を市町村職員や市町村社会福祉協議会職員のみで行うことは、量的にも質的にも困難で、「災害中間支援組織」の全面的な協力が必要だからです。
  「災害中間支援組織」に参画していただく団体には、NPO(特定非営利活動法人)、公益社団法人、一般社団法人、任意団体などさまざまな団体があります。また、全国的な団体と地域の団体の両方があります。

3 国・市町村と「災害中間支援組織」の連携
  これまでも、防災基本計画には、市町村と「災害中間支援組織」の関係については記述されており、「市町村は、市町村社会福祉協議会と連携を図るとともに、「災害中間支援組織」を含めた連携体制の構築を図り、災害時に災害ボランティア活動が円滑に行われるよう、その活動環境の整備を図るものとする。」となっていました。
  国(内閣府(防災))と「災害中間支援組織」に参画していただける全国的な団体との連携体制は、平素から構築されています。また、私が勤務した広島市の場合には、広島市及び広島市社会福祉協議会と「災害中間支援組織」に参画していただける地域の団体との連携体制は、平素から常設の「広島市災害ボランティア活動連絡調整会議」を設置し、定期的に会合を行うことにより、構築されていました。
  広島市は県庁所在地市であり、政令指定都市です。一方で、市街地ではない市町村や過疎地の市町村の場合、市町村域やその周辺地域に「災害中間支援組織」に参画していただける団体が存在せず、連携体制を構築したくても、やりようがないという事例も多くあったのだろうと、私は、認識しています。

4 防災基本計画改正の狙い
  このため、今回の改正において、団体が存在しないようなエリアを解消していくことに資するため、中央防災会議は、「「災害中間支援組織」の育成」の項目を新たに追加したものと、私は分析しています。
  また、「災害中間支援組織」、つまり、地域の団体の育成担任を、中央防災会議が、市町村ではなく都道府県としたのは、実現の可能性を踏まえれば都道府県の担任とするしかなかったからなのだろうと、私は分析しています。また、「育成するものとする。」ではなく「育成に努めるものとする。」と記述したのも、実現にはある程度の時間がかかることが予測される以上、こう記述するしかしょうがなかったのであろうと、私は分析しています。

5 まとめ
  市街地でない地域や過疎地での少子高齢化・人口減少の進展は、市街地以上に顕著であり、少子高齢化・人口減少の進展は、地域の団体の活動の活性化・維持に悪影響を及ぼします。一方で、災害は、市街地でない地域や過疎地でも発生します。今回の防災基本計画の改正により、市街地でない地域や過疎地を含み、全国的に「災害中間支援組織」の育成が進捗していくことを祈りたいと思います。