危機管理業務部 主任研究員
 三宅 丈也


 「災害は忘れた頃にやって来る」と、昔はよく言った気がしますが、最近は「忘れる暇(いとま)もない」というのが正直なところではないでしょうか。様々な大きな自然災害が毎年、毎月のように世界各地で発生しており、昨今の新型コロナ感染症を含めれば、今現在、世界中の人々が被災者である、と言っても過言ではないのです。
 新型コロナ感染症を外したとしても、いつ、どこで、誰が、どの様な災害に遭遇するかは全く予測がつきません。風水害は、ある程度は事前予測が出来るため対応も可能ですが、地震などの自然災害は外出中、運転中、バスや電車に乗車中など、こちらの都合を考慮してくれません。

 今回は、私たちが今居る場所において突然何か自然災害に遭遇してしまった場合における咄嗟(とっさ)の対応について考えてみたいと思います。日頃から災害遭遇時に取るべき自身の行動をイメージアップしておけば、予想もしない時期や場所で何かの災害に遭遇したとしても、被災を局限し減災に繋げることが出来ます。
 なお、記述に際し下記の政府広報オンラインを参照しています。
 参照; 政府広報オンライン「災害時に命を守る一人一人の防災対策」
  
  〃物内に居たり乗車中の場合(地震など)
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 映画館や劇場等の密閉された建物内に居る場合や、エレベーター、電車、バスの乗車中、または自動車運転中の場合などに、突然、大きな地震に遭遇したら、どうしたら良いでしょうか。
 <施設内>
 施設の誘導係員の指示に従います頭を保護し、揺れに備えて身構えます。あわてて出口・階段などに殺到しないことです。また、ガラス製の陳列棚や吊り下がっている照明などの下から離れるようにします。
 <エレベーター内>
 最寄りの階で停止させ、速やかにエレベーターから降りるようにします。
 <電車・バス乗車中>
 つり革、手すりなどにしっかりつかまり、車外に投げ出されないように気を付けるとともに、車掌または誘導員の指示に従います
 <運転中>
 あわててスピードを落とさず、ハザードランプを点灯させながら徐行し、周りの車に注意を促します。周囲の状況を確認して道路左側に停車させ、エンジンを止め揺れが収まるまで車内で待ち、揺れが収まったら、ドアをロックせずキーをつけたまま車外に出て、安全な場所へ避難します。
 この際、車検証の携行をお勧めします。

 ◆仝瀕して屋外に居る場合(津波、洪水、噴火など)
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 屋外で、趣味の釣りやキャンプ中、または登山中など、周りにあまり人が居ない場合などに、突然、津波や洪水、または噴火などに遭遇したら、どうしたら良いでしょうか。
 <津波警報・注意報など>
 海岸近くにいるときに、強い揺れを感じたり、津波警報・津波注意報を聞いたりしたときはすぐにその場所から離れ、高台などに避難します。
 はじめて訪れた観光地など地理に詳しくない土地でも、「津波避難場所」マークや「津波避難ビル」マークを目印にただちに避難します。ただし、地方自治体が作成している津波ハザードマップなどによって指定された避難場所であっても津波は予想を超えて襲ってくることがあるので、状況に応じ各自の判断で率先して避難するようにします。
 また、津波は、河口から川の流れに沿って上流側にも追いかけてくるため、川の近くにいるときは、流れに対して直角方向に素早く避難します。
 <川沿いのキャンプ>
 そもそも川の中州での宿泊を伴うキャンプは避けるべきであり、自殺行為と同じです。川沿いであっても上流等で雨が降った場合やダムの放流など、今居るキャンプ地付近が晴天であっても、急激な増水のリスクがあります。まずは、そういった場所は避けるべきですがキャンプしてしまった場合には、上流地域も含めた気象情報を常に把握することが必須で、危険を察知したら速やかに避難します。
 <山や崖付近>
 落石や崖崩(がけくず)れが発生しそうな場所から急いで離れます

  その他(山火事、竜巻、アンダーパス水没など)
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 外出中、山火事や竜巻に、または車を運転中に水が溜まったアンダーパスに入り込んでしまうなど思わぬ災害に遭遇したら、どうしたら良いでしょうか。
 <山火事>
 登山中などに山火事に巻き込まれそうな場合は、まず落ち着いて避難経路を探します。よく風上へ逃げよなどといわれますが、風上の方が火の回りが早くなる場合もあり逆に危険な場合もありますから固定観念に捕らわれない様に注意が必要です。風向き等は時々刻々変化しますから、できれば不燃性の土等の広がった場所等、また、火が斜面を登って行く様な場合には、それと直交する側方へなど、風向きや火の回り具合等を冷静に観察・判断し、状況に応じて避難します。
 <竜巻>
 屋内の場合、窓とカーテンを閉め、出来るだけ1階、家の中心で窓がない部屋(トイレ等)に移動し、丈夫な机やテーブルの下に入るなど身を小さくして頭を守ります。屋外の場合は、プレハブなどや電柱、大きな樹木は倒壊の危険があるため避けます。そして、側溝内や頑丈なコンクリート構造物間の物陰に入るなどして身を小さくします。なお、竜巻は全国どこでも過去に発生しています。
 <アンダーパス水没>
 まず慌てずシートベルトを外し、ウインドが開くならばそのまま窓から脱出して天井に避難しますが、パワーウインドの場合、電気系統の故障や水圧のため開かなくなる場合もあります。一番良いのは緊急脱出用ハンマーでウインドガラスを割って脱出する事(割れない場合もあり)ですが、最近はハンマーを車に乗せていたために警察に長時間にわたって事情聴取されたという事案も発生していますので注意が必要です。
 水圧でドアも開かず、ウインドも開けられず、ハンマーもない、こんな最悪事態に陥った場合、水が車内に徐々に入ってくれば誰しも不安になりますが、逆にチャンスでもあるのです。水が入ることによってドア等に掛かる水圧が弱まっていくからで、ドアが開きそうな状態になるのを冷静に待ってチャンスを見極めるや息を大きく吸い込んで全身の力を(両)足に集中して一気に蹴り開けて脱出します。
 <街中など>
 ブロック塀や自動販売機など倒れてきそうなものから離れます。看板、割れた窓ガラスの破片が落下することがあるので建物の周囲から急いで離れます

 人は誰しも、いつ、どこで、どの様な自然災害に直面してしまうかの予測は全く出来ません。誰でも被災者になり得ますので、自分が今居る場所で、どんな自然災害に遭遇してしまうか、もしも被災したならばどう対応すべきなのか等について、日頃からしっかりとイメージしておきたいものです。
 その際、役立つのが過去に様々な災害に遭遇した被災者の活きた体験・教訓などであり、現代の先人の教えの一つといえるでしょう。いざという時に、少しでも役立ち皆様の被災を局限し減殺に繋がることを願っています。