危機管理業務部 主任研究員
 坂上 栄一


 地震の際、エレベーターが止まり閉じ込められた時は、2次災害の恐れがあるため救助は保守会社が行うのが原則です。令和4年5月に公表された東京都の首都直下型地震の想定では最大で2万2000台のエレベーターが止まり、救出まで半日以上かかると言われています。わたくしは7階建てのマンション住まい、もし、自分にそれが起きたらとても私には耐えられそうもありません、皆さんもそうではありませんか。止まった時の第1歩、どうしたらよいのか、日頃から準備しておくべき必要な事はないのかと不安になりました。閉じ込められたエレベーター内の住人を住人自ら救出出来ないものかと疑問をもち調べてみました。救出訓練として実施しているマンションもあり紹介をします。

 エレベーターが止まって閉じ込められた次の瞬間
 【行動1】非常ボタンを使って外部と連絡を取る
 日頃から、エレベーターに乗ったら、もし止まったら「連絡先」はどこか、確認して下さい。また、非常ベルを押すとベルが鳴り周辺に知らせるようになっていますが、聞こえない場合が有ります。鳴っても何のことか分からない場合もあります。関係する訓練等を活用し、皆で確認しておくのも大切です。
     ★「止まったら、深呼吸、非常用のボタンをプッシュ」
 【行動2】備蓄ボックスの有無を確認
 通常、コーナーに三角形のボックスがあり必要な物が入っています。また、腰掛としても活用できます。どんなものが入っているか確認しておくと安心です。もし、無いマンションが有ったら備えてもらいましょう。
     ★「備えて安心、腰かけて、隅のワンボックス」
 【行動3】体力を温存(楽に、静かに助けを待つ)
 人の力では中からは開きません。直に助けが来ることはないと思った方が良いでしょう。
     ★「無理な力は不要、じっと待てば、命の泉わく」

 皆さんでエレベーターを開けてみたら
 マンションのエレベーターは保守会社若しくは消防関係しか開けることが出来ないと思っていました。東京の33階建てのマンションで住人による救出訓練をしたということで驚きました。その模様を紹介します。
 「訓練は業者による救助に時間がかかるとの想定で参加住人がまず止まったエレベーターの位置を確認し、保守会社の指導のもとドアのすき間に長さ30cm以上ある特別な鍵を差し入れて扉を開き閉じ込められた人を救助する手順を確認し、自分たちで助けられる方法があると分かったのは有益
だったとのことでした。」
 全てのエレベーターで出来るかどうかは不確かですが、是非、可能であれば救出訓練をしてみたらいかがでしょうか。恐怖から少しは逃れられるかもしれません。

 備蓄ボックスを備えましょう!
 私の住んでいるマンションには備蓄ボックスが置いてありません。調べてみると結構値段のはる物であることが分かりました。必要最小限のスペックは次のとおりです。
  ❶コーナーに設置し腰かけられること ❷トイレの機能があること
  ➌非常用食料・飲料水があること
 5万弱の備蓄ボックスを見つけましたので紹介します。
坂上09画像1
❶椅子(座面はレザー)による快適空間
❷トイレとしての安心機能
➌非常用食料・飲料水
❹イタズラ防止機能付き
❺寸法:H50cm×W30僉滷30

 また、地域よっては、エレベーター閉じ込め対策としてエレベーター防災用品を無償で配付(例えば港区)、一部補助金がでる自治体もありますのでお住いの自治体に確認してみてはいかがでしょうか。

 救出訓練にあたり
  ア 救出を実行するための条件を徹底
    ❶保守会社と連絡が取れない ❷保守員がいつ来るか不明
    ➌閉じ込められた人の命の危険が迫っている
    ❹停止したエレベーター位置で開閉が可能である
    訓練時は、❷と➌の状況の下で実施することになるでしょう。
  イ 救出手順書を作成(必要な項目は?)
    ❶救出のための必要条件
    ❷必要な道具のある場所(概要図と格納場所・箱の鍵の確保要領)
    ➌機械室の制御盤の主電源OFF
    ❹ドアの開閉要領
    ❺保守会社への連絡及び保守員への報告
 この手順書は、簡単・明瞭であり、ラミネート等で経年変化に耐えうるものとして下さい。また、手順書の置き場または保管者についても検討して下さい。

 まとめ
 災害の被害を最小限にするため、自助・共助・公助が必要と言われています。
 今回のエレベーター救出訓練は、共助ということになります。特に大災害時は頼れる保守会社、消防機関の到着を待ちきれないかもしれません。マンションに住まわれている方へ、居住者同士で助け合うことができ、自信が持てるよう、是非「救出訓練をしてみましょう」の意見を出してみたらいかがでしょうか!!