危機管理業務部 主任研究員
石井 一将
私は宮城県庁で５年間防災･危機管理を担当し、令和元年度東日本台風対応や令和４年11月北朝鮮弾道ミサイル発射に伴うＪアラート発令対応などを経験しました。
これら経験で感じたことなどを、このBlogで逐次紹介していきたいと思います。
最初は、令和６年能登半島地震で対口支援の先遣隊･LOとして２回能登町に派遣された経験談を紹介させて頂きたいと思います。
[能登町役場ロビーの「能登高等学校書道部による垂れ幕」（２月15日撮影）]
１月７日（日）急遽能登町への先遣隊としての派遣が決まり、資機材、水･非常糧食、通信機器などを車両に積載し自己完結できる準備を行い、８日（月）午前６時に県庁を出発しました。午後６時過ぎに能登町役場に到着、町の対策本部会議に途中から参加し到着報告をして活動を開始しました。
到着した時には既に電気やWifiも繋がり、各省庁LO、石川県LO、総括支援チーム（滋賀県）、対口支援団体LO（和歌山県･茨城県）が活動していました。
この活動等において一番強く印象を受けたものはネットワーク技術の活用です。令和元年東日本台風では宮城県丸森町に２回県独自の総括支援チームとして派遣され支援等を行いましたが、その当時は、県防災システムへの入力、携帯電話･PCからのメール送信くらいでした。能登半島地震ではコロナ禍で一挙に進んだWeb会議、テレワークPCなどが使用され、被災地LOと派遣元県との距離が格段に近くなりました。
宮城県広域応援本部事務局とはメール報告等は当然として、Web会議での情報共有、テレワークPCにより能登町役場から県サーバーに直接アクセスして逐次活動報告等を更新・県庁でも随意に確認し加工できる態勢を整え、日々活動報告作成などLO業務の一部を県事務局が担いました。また避難所支援要員、物資支援要員などグループ毎にLINEを構成し軽易に情報共有が行われました。県広域応援本部事務局では常時このLINE情報等が投影されリアルタイムに共有していました。
関係省庁LOも本省等と密接に情報共有し適時の支援提案がなされ、被災7市町首長もテレビ会議開催の石川県対策本部会議において要望事項等を直接発信されていました。
このように被災現場と各応援本部等との情報共有が促進され、LO業務などが軽減された一方、些細な事象まで確認を求められ逆に手間が掛かったこと、“分かった積りになって現状にそぐわない提案”がなされ現地を困らせたこと、現地情報を求めるが広域応援本部内での検討事項などの提供が疎かになるなど、運用面では改善すべき事項も多くあったと思います。
またネットワーク技術面でも、テレワークPCのセキュリティーが強く他県LOのPCにメールを送れなかったこと、契約通信データ量の制約からPCの使用に制限を受けたことなどがありました。これらが改善されれば応援都道府県間、現地の省庁･対抗支援団体等LO間など横の連携も促進され、より効果的な支援が期待できるのではと思います。
今後は、色々な垣根を超えるネットワークの構築、このネットワークを運用するルール作りなど、全国的な検討が必要になるのではと感じたところです。
