危機管理業務部 主任研究員
坂上 栄一
地震・津波・台風による災害時、ライフラインの途絶がニュースとなっています。
ライフラインの中でも電気に対する対応に自動車を使う対応策が有ります。電気自動車というと日産リーフが良く挙げられています。
この日産リーフを例に災害時、蓄電池代わりに使用した場合を想定して紹介したいと思います。
≪１ 車から家への充電≫
車から家への充電のシステムは次のとおりです。
（必要な設備）＝電気自動車ＥＶ＋Ｖ２Ｈ
Ｖ２Ｈ：「Vehicle to home」の略称で「クルマから家へ」という意味です。ＥＶやＦＨＥＶのバッテリーに貯めている電力を自宅で使えるようにする機器のことです。
≪２ ここで前提とする車両・機器及び諸元等≫
❶電気自動車：日産リーフ（車体価格約400万円★国の補助金85万円+α）
主要諸元→ﾊﾞｯﾃﾘｰ容量40kwh､8時間充電、航続距離322km、放電下限値10％
★放電下限値：ＥＶのバッテリーから住宅へ放電できる下限値
❷Ｖ２Ｈ：ニチコン社製「EVﾊﾟﾜｰ･ｽﾃｰｼｮﾝ（ｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞ）」
部品代･工事費込882,100円（本体498,000円）補助金有(1/2+α)
❸１日での世帯電気エネルギー消費量10kwh（年間3,950kwh）
（令和４年度家庭部門のCO2排出実態統計調査結果についてより）
≪３ 災害時、停電時に電気自動車を活用した一例≫
❶地震が発生し、１週間の停電、３日間の備蓄食料あり、
https://ev.gogo.gs/map「GoGoEV」から24km圏内に急速充電場所有り（日産自動車Ｎ販売店、急速充電時間（40分））
❷自宅での電気使用可能日数Ｄの算出
Ｄ＝(40kwh×0.9−(24�辧�2/(322��/40kwh))）/10kwh＝3日
Ｄ＝3.6-0.025Ｒ Ｒ：給電場所までの距離
≪４ 停電解消までの生活サイクル≫
（地震発生１日目1/1）
❶１月１日１８時地震発生→停電
❷電気自動車（満充電）による自宅での電気使用開始１９時
（地震発生２日目1/2）
❶ネットで急速充電場所を確認し、電話にて停電地域でないことを確認し、急速充電器使用可能であることを確認する。
（自宅から24�劬�日産自動車Ｎ販売店）
❷電気使用可能日数を算出し充電時期を決定し、充電計画を作成
３日間電気使用可能、３日後の１月４日１５時に充電できるように日産自動車Ｎ販売店へ電話連絡し、予約をする。
➌充電関係以外で自由に運転できる所要距離Ｒを算定
３日間の電気使用により３項❷の算定式より所要距離を算定
Ｄ＝3.6-0.025Ｒ→ R＝（3.6-D)/0.025 → D＝3‥‥→ R＝24��
３日間の充電間隔中に２４�劼料�行が可能となります。
（地震発生３日後1/3）
日産自動車Ｎ販売店へ電話連絡し、明日車への充電について再確認
（地震発生４日後1/4）
14時自宅発→15時Ｎ販売店着→充電→16時Ｎ販売店発→17時帰宅→17時から車での家への電気使用開始
（地震発生５・６日後1/5･6）
走行可能距離24ｋｍの範囲内で車使用
（地震発生７日後）
14時自宅発→15時Ｎ販売店着→充電→16時Ｎ販売店発→17時帰宅→17時から車での電気使用開始
（地震発生８日後1/8）
停電が解消され通常状態に復帰
★自宅での節電、充電場所（24�勸米癲砲鮃洋犬垢譴个海隆岾屬呂気蕕鳳笋咾襪海箸任靴腓Α�
≪５ まとめ ≫
日産の数字では４日間自宅での給電が可能とされています。給電場所がすぐ近くにあれば可能です。読者の生活環境を考慮して検討してみてください。
電気自動車の災害時の助けは大きいものと思います。次期自動車の機種選定時には、いずれ来るであろう大震災への対応をご検討してみてはいかがでしょうか!!
≪６ 一口メモ ≫
急速充電規格「ＣＨＡｄｅＭＯ」はご存じですか?
これは、ＥＶ用急速充電規格
❶ChArge de MOve＝動く、進むためのチャージ ❷de＝電気
❷ChAdeMO（チャデモ）＝充電中に茶でも
普通充電器は交流で、急速充電器は（直流）で充電されるため急速となります。
