危機管理業務部 主任研究員
 福島 聡明

4月に入り、新年度がスタートしました。この4月から新しい学校や会社に入学・入社されたという方も多いと思います。
そんな季節柄、今回は「防災」と「学校」をテーマに考えてみたいと思います。
【画像】学校
日本は毎年、地震・台風・豪雨などの自然災害が多発しており、世界でも有数の災害大国と言っても過言ではない国です。
その中で、子どもたちが1日の大半を過ごす「学校」は、学びの場であると同時に、防災の最前線でもあります。特に都市部では、人口密度が高く、災害時のリスクも複雑化・多様化していることから、自治体にとって学校防災は重要な政策課題の一つと言えます。

その視点から考えると、まず基本となるのは、「命を守る力」を子どもたちに育てることです。
これは、単に避難訓練を実施するというだけではなく、自らで状況を判断し、行動する力を育む教育です。
例えば、都内のある小学校では、年に数回、地震や火災、豪雨を想定した複合型の避難訓練を実施しているとのことで、児童だけでなく、教職員や保護者、地域の消防団、民生委員も参加し、顔の見える連携体制を平時から構築しているとのことです。
また、都内某区では「防災教育プログラム」が区内すべての小中学校に導入されているとのことで、このプログラムでは、防災をテーマとした探究学習が行われ、児童生徒が自ら地域の危険箇所を調べ、避難ルートを提案するなど、主体的な学びが重視されているとのことです。
こうした活動は、子どもたち一人ひとりの防災力を高めるだけでなく、子どもたちがその貴重な体験を家族や周りの人たちなどに伝えることで、家庭や地域への波及効果も期待されています。

さらに、学校は災害時の「地域防災拠点」としての役割も担っています。
多くの公立学校が指定避難所となっており、東京都では各自治体と連携して、備蓄品の配置や電源・通信の確保などの整備が進められています。
都内のある中学校では、PTAと地域住民が協力して「防災体験キャンプ」を開催しており、段ボールベッドや簡易トイレの設置、非常食の調理体験を通して、避難生活のリアリティを共有し、防災意識の底上げが図られているとのことです。

また、ICT活用の面では、災害時の情報伝達体制の強化が進んでいます。
東京都教育委員会では、災害発生時に迅速な情報共有が行えるよう、教職員向けの連絡アプリやWeb型マニュアルを整備。また、多くの区市町村で学校と保護者間の情報共有ツール(メール配信システムや緊急通知アプリ)も導入されています。

このように、学校防災は単なる訓練や設備整備にとどまらず、「教育」「地域連携」「体験」「テクノロジー」の複合的な取り組みとして展開されています。そして、学校で得た知識や経験を通じて、子どもたちは家庭へと防災の意識を広げていきます。
自治体としては、教育委員会や地域団体などとの連携を深め、学校を核とした防災力の向上を、今後さらに戦略的に進めていくことが求められます。

学校は、「学びの場」であると同時に、「命を守る力を育む場」です。その意識・ヴィジョンを自治体が明確に持ち、現場との対話を重ねながら、持続可能な防災体制を築いていくことが、未来の安心と安全に繋がっていくのではないでしょうか。